桜田ひより、妊娠した高校生役を熱演「感情を大事にすることを意識して演じています」<あの子の子ども>

「あの子の子ども」で主演を務める桜田ひより撮影=市川秀明

恋人役の細田佳央太に尊敬

――宝役の細田佳央太さんは、どんな方ですか?

真面目。大真面目ですね(笑)。お芝居に対してすごく考えているし、人間性がしっかりしていないと言えないような、信頼できる言葉が出てくる人です。

もちろん真面目なだけでなく、楽しむ時は思いきり楽しんでいる印象です。けれど、スイッチがオンになった瞬間の細田さんは、本当に同じ職業の人間として尊敬する部分が多い方です。

――宝と重なる部分がありますね。

本当に。作中の宝は、緊張する事態を前にすると手が冷たくなるのですが、細田さんもそうなんですよ(笑)。手を繋ぐシーンで「冷たいな」と思うと、「緊張してる」と言っていて。性格だけでなく、そういうところも似てると思いますね。

――福のクラスメート・飯田智宏役の河野純喜さん(JO1)にインタビューをした際に、河野さんは、「シリアスな問題に直面する福と宝がいる一方で、僕が演じる飯田と福の親友・矢沢(茅島みずき)の2人は微笑ましい」とおっしゃっていました。明るいキャラクターの飯田が矢沢にアタックする姿は、作中の癒しですよね(笑)。

そうですね。飯田と矢沢は、本当に可愛らしいんですよ。見ているとニコニコしちゃう。実際に、私も撮影中に遠くから2人をニヤニヤしながら見ています(笑)。私的には、福の親友・矢沢の良さをみんなにわかってほしいと思う反面、独り占めしたい気持ちもあって。独特の矢沢ワールドに、ニヤニヤしちゃうんですよね。10代のちょっと背伸びした感じというか、つんつんした感じが、すごく可愛いです。

――福はあまりオープンマインドな子ではないから、矢沢という何でも言える親友がいてよかったなと思える存在です。

そうなんですよ。お互いが、すごく大切に相手を思いやっていますよね。しかも踏み越えてはいけない領域は、相手が扉を開けるまでしっかり待っていて。すごくいい関係性ですね、福と矢沢は。

「あの子の子ども」で主演を務める桜田ひより撮影=市川秀明

16歳のころは「心がどんどん動いていく時期だった」

――ヒロインの福は16歳。桜田さんは16歳のころ、どんな悩みがありましたか?

具体的に思い出せるものはないけれど、絶対に悩みはあったはず。すごくいろいろなことを考えていた時期だから。10代ならではの悩みもあったし、いろいろな人の考えを聞いて発見もあった。さまざまなことを悩んで吸収していたと思います。

――どんな16歳でしたか?

今よりも、幼かったと思います。今の自分ができたのは、高校を卒業してからという認識はあって。でも福と同じように、いろいろなことに敏感になって、自分の心がどんどん動いていく時期だったかなと思います。

――「今の自分」ができたきっかけは何だったのでしょう。

「これ」というきっかけはないのですが、高校生という学生の枠を外れた時に、「このお仕事で自分を生きていきたい」と改めて思ったんです。自分の仕事に対しての覚悟ができて、ちょっとずつ変わっていった気がします。

――第4話(7月16日放送)からお話が大きく動き出しますが、今後の見どころを教えてください。

4話から、毎回毎回目が離せない展開になっていきます。この作品の勝負どころといえるかなと思います。ここから福と宝の2人だけでなく、親や先生、いろいろな人の視点が入ってきて、いろいろな考え方が出てきます。そこでもがく福と宝の姿が、誰かに刺さればいいなという思いです。今はとにかく、ワンシーンごと目に焼き付けてほしいと思いながら大切に大切に撮影しているので、楽しみに見ていただけるとうれしいです。

◆取材・文=坂本ゆかり

「あの子の子ども」で主演を務める桜田ひより撮影=市川秀明