有村架純“弥生”、コーヒーのお代わりとシャワーで表現された孤独な過去<海のはじまり>

2024/07/23 11:36 配信

ドラマ レビュー

コーヒーとシャワーが示した孤独だった弥生の過去


弥生が恋人に妊娠を告げたのは喫茶店だったが、仕事をしていくと言って1人残ったとき、テーブルにあったコーヒーを飲み干し、お代わりをオーダー。店員が伝票を確認して「ノンカフェインコーヒーでよろしいですか?」と問い掛けると、弥生は「普通ので」とブレンドコーヒーを頼んだ。

妊娠中はカフェインの過剰摂取は注意するように言われる。弥生は相手が来る前に注文したときは、そのまま妊娠を継続する可能性を考えていたのではないかと推測できた。

しかし、お代わりの“ブレンド”コーヒーが届いても、一口も口にすることなく店を出た弥生。その後、自宅で母親に相談の電話をして「1人で育てるのってさ…」と言いかけると、すぐさま「私、無理だからね」とサポートを拒否する返答があった。

そして、中絶した日。恋人は「終わった?」とメールでのみ聞いてくるだけだった。自宅に帰り、風呂掃除していた弥生は浴槽の中ですべって思わずお腹を気にした。でも、すぐに「もういないんだった」とつぶやき、涙があふれ出た。1人暮らしで恋人も母も部屋にいない。その中でシャワーをお腹にあて、もういないことへの思いがあふれた涙を流し、泣き声をかき消す姿はあまりにも切なかった。

そんな弥生と交互して、水季が妊娠を両親に告げてから生む決意をするまでが描かれた。水季を心配して厳しい言葉をかけても、生む選択をしたら受け入れてくれる親の優しさがあった。また、第1話で描かれたが、夏は水季から中絶の同意を求められて、言葉足らずなところはあったが、「他の選択肢はないの?」と問い掛けていた。

ほぼ同じころに妊娠した弥生と水季は対照的だった。それだけに弥生の孤独が浮き彫りに。コーヒーと、予告から注目されていたシャワーのシーンでそれを深く印象づける物語性も秀逸だった。

4週連続でタイトルが世界トレンド1位になった中、SNSには「弥生と水季の対比がつらかった」「コーヒーひとつで妊娠を彷彿とさせる演出素晴らしい」「ノンカフェインコーヒーで胸がギュッとなった」「シャワーのシーンが頭から離れない」といった声が上がった。

◆文=ザテレビジョンドラマ部