「マーベル的に絶対NG」発言から“スーパーヒーロー映画疲れ”までネタに…“デップーらしさ”詰まった作品<デッドプール&ウルヴァリン>

2024/07/25 12:45 配信

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映画「デッドプール&ウルヴァリン」が、7月24日に公開された(C) 2024 20th Century Studios / (C) and TM 2024 MARVEL.

マーベル・スタジオ劇場公開最新作「デッドプール&ウルヴァリン」が7月24日に世界最速公開された。せっかく“世界最速”ということで、破天荒なクソ無責任ヒーロー“デッドプール”とキレたらヤバい最恐アウトロー“ウルヴァリン”が暴れ回る、笑えて泣けて過激さたっぷり、小ネタも満載なR指定作品のレビューをお届けする。(以下、ネタバレがあります)

デッドプール、ウルヴァリンとは?


不治の病を治療するために受けた人体実験で、自らの容姿と引き換えに不死身の肉体を手に入れた元傭兵の“デッドプール”ことウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)。戦う動機は超個人的、自分のことを“俺ちゃん”と呼び、“第四の壁”(現実とフィクションの間に概念上存在する見えざる壁)も余裕で破り、観客に向かって話し掛けるなど自由奔放、何でもありの破天荒な無責任ヒーローだ。2本の日本刀と二丁拳銃を使いこなすアクロバティックな戦闘スタイルが特徴の彼が、今回は大切なファミリーのために世界の命運を懸けた壮大なミッションに挑む。

その予測不可能なミッションの鍵を握るのが“ウルヴァリン”ことジェームズ・“ローガン”・ハウレット(ヒュー・ジャックマン)。こちらも驚異的な治癒能力と不死身の肉体を持ち、世界で最も硬い超金属アダマンチウムを全身の骨に移植する改造手術を受けたことで最強の生物兵器として覚醒した。おしゃべりなデッドプールとは対照的に必要最低限のことしか口に出さず、冗談も通じない一匹おおかみタイプ。獣のような闘争本能と人間としての優しい心の間で葛藤しながら、全てを切り裂く超金属の爪を武器にX-MENの一員として世界の平和のために戦ってきた。デッドプールに「お前は世界の救い方を知っている」と助けを求められるが、「俺はヒーローじゃない」と口を閉ざすウルヴァリン。彼には“世界を救えなかった過去”というトラウマがあったが、デッドプールに巻き込まれる形でタッグを組み、世界の命運を懸けて暴れ回る。

「デッドプール&ウルヴァリン」より(C) 2024 20th Century Studios / (C) and TM 2024 MARVEL.

何でもありと見せかけて…「マーベル的に絶対NG」なことも


「デッドプール」シリーズを世に送り出した20世紀フォックス映画は、2019年3月にウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下に入り、本作はマーベル・スタジオが所有することとなった。本編では、ディズニーやマーベル、20世紀フォックスをこするネタが満載で、予告編にも登場していたが戦闘シーンの背景に崩壊した「20世紀フォックス」のロゴがあったり、ウェイドが同居している盲目の老人ブラインド・アル(レスリー・アガムズ)との会話で、ドラッグの話をし始めたアルにウェイドが「それだけはマーベル的に絶対NG」と、下ネタはガンガン繰り出すくせに、そこに関しては厳しくくぎをさすシーンもある。他にも、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)以降のマルチバースを展開するMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のフェーズ4と5が、“スーパーヒーロー映画疲れ”という表現で揶揄されることを自虐ネタにしてしまい、自身を“マーベルの救世主”とか“マーベルの神”とか言っているが、まさしくデッドプールらしいやり方で盛り上げようとしているに違いない。そういうイジりや自虐ネタもデッドプールであり、脚本・製作にも携わっているライアン・レイノルズだからこそのリスペクトを感じる。