一方で、池松は「学生の頃の経験は全部活きていると思います。いい学校ですもんね(笑)。(大学生でいた)社会に出る前の4年間は、本当にギリギリに残された猶予として、(自分は)あまり褒められた学生ではなかったんですが、映画を観たり、ひたすら考えたり…そういう時間を過ごしたことが、その後の自分の俳優活動にものすごく活きてきたと思っています。幼少時代では、今回の子役の子たちと同じくらいの11~12歳がデビューだったので、初めて俳優に触れたくらいの歳。何もわからない状態でしたが、そんな中で映画を体験するってどういうことなのか、自分は初めて映画に参加した時に何を思っていたか、どういうふうに世界を見ていたのかを、今回たくさん振り返る時間になりました」と、自身の経験をも振り返っていた。
「自分の表現を磨いていく方法があったら教えてもらいたい」という言葉に、監督は「それは僕も探し中ですが、結局は何か好きな作品を見つけたら、その作品に関してなぜ自分が好きだと思ったかを言葉にしていく。それを繰り返していくしかないと思います」と持論を展開。
池松は「僕は常に流動的でありたいと思っていますし、さまざまなスタイルを獲得していきたいと思っています。昔は自分のスタイルって何なのかなと考えましたけど、今はいろんなものをマネしていいし、そして自分の表現に対して素直になることだと思っています。そうしたら必ず自分のスタイルというのは結果として出てきますから。どんどん取り込んで、どんどん素直に表現していけばいい」と、俳優としての観点から意見を述べた。
池松は同校で監督コースを専攻していたが、監督から「どうして監督コースだったの?」と問われると、「監督は専門的なことを知らないとできないですが、演技は誰かに教えてもらうものではないのではないかと若いころから勝手に思っていて。技術ではない表現が、自分のお芝居の理想だと思っていたところがあった」と答えた。
最後に監督は「これだけ素晴らしい技術と素晴らしい先輩がいる中でその背中を追いかけながら学べるのは最高にうらやましいです。そう思われる場所にいることに誇りを持って、映画作りを目指していってほしい。いつかお仕事でご一緒できたら」と声をかけ、池松が「監督は皆さんとあまり歳が変わらないんです。大活躍の監督が脚本もカメラもやるという、これまでのルールを破っていく。いい映画を作っていくのにルールは必要ない。これまでのルールをぶち壊して新しい世界を作っていきたいと思いますし、ぜひ僕も皆さんとお仕事できる日を楽しみにしています」とエールを送り、イベントを終了した。