コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、コミック2巻が発売されたばかりの、散葉ちんみさんが描く『嫌われ魔女令嬢と男装皇子の婚約』(月刊コミック百合姫にて連載中)より『求婚してきたイケメン皇太子が女の子だった』をピックアップ。
散葉ちんみさんが2024年7月18日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、1.1万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、散葉ちんみさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
主人公は闇魔法の力を持つ貴族、イヴリス・ヴラッドリー。貴族学校の卒業パーティーで、婚約していたマルク殿下に婚約破棄を言い渡されてしまう。婚約を破棄されてしまったイヴリスは、闇魔法を使う妾の子であるとして家族からも出来損ない、いらない子だ、と言われてしまう。
翌日、婚約を破棄されたマルクから家に来い、との手紙が来る。その道中、車輪が石畳の間に挟まって動けなくなっている馬車を見かける。困っているその馬車をイヴリスは闇魔法で瞬時に救った。そして馬車に乗っていた美しい女性に、今のは闇魔法であるから自分には近づかない方が良い、と言うものの、逆に「すっごーい!」と抱きしめられたのだった。
マルクには使用人になれと言われてしまうイヴリス。そこに突如現れたシエル・アルファルド皇太子に、マルク殿下は「結婚相手は見つかったのか」問う。すると、シエルはイヴリスに近寄り「彼女と結婚する」と突然宣言したのだった。
シエルに嫁ぐこととなったイヴリスは、アルファルド帝国の皇城にやってくる。そして、着替えてきたシエルが、先日助けた馬車に乗っていた女性だったということを知るのだった。
作品を読んだ読者からは、「かっこかわいい」「面白いとドキドキがある漫画」「可愛くて萌えました」など、反響の声が多く寄せられている。
――『嫌われ魔女令嬢と男装皇子の婚約』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
初連載をしよう、ということで色々案を練っていたのですが正直どれもピンと来ていませんでした。何を描きたいのか自分でもよく分からなかったんです。そこで担当さんから「かっこいい女性が好きなら、いわゆる婚約破棄令嬢ものの王子様を男装の女性に置き換えたらどうか」という提案をいただきました。その時「描きたい」より「読みたい!」と強く感じました。
元々私は王子様系の女性が大好きで、担当さんに声をかけていただいたのもそういったキャラクターを取り上げた読切を描いたのがきっかけでした。ただ、好きだからこそ需要の低さというか、あまり王道ではない…という事も重々承知していたので初連載として描くのは無理があるな、と思っていたんですね。
ただ、ジャンルとして文脈が確立されている「婚約破棄もの」なら男装女子をメインに据えてもある程度入りやすいのではないかと。魅力を伝えたいにも読んでもらえないと始まらないので…。戦略半分、趣味半分な感じですね。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
技術的な面では「前回できなかったことを今回やる」というのを念頭に置いています。まだ探り探り描いている新人作家ですので、1話1話ステップアップできるよう心がけています。これは連載初期の担当さんの教えによるものですね。特に3〜4話は作画を見直したため画風が結構変わっています(笑)
あとは男装時のシエルをいかに美しくかっこよく描くかです。読者の方にも惚れてほしい!という気持ちを込めています。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
いくつかありますが、強いて言えば2巻収録の8話『眩い誓い』でのシエルのセリフ「シャリオ皇帝の長女にして皇太子!シエル・アルファルドの存在を!!」のところですね。このシーンを描いた時、この作品で描きたいものの本質にたどり着いたような気持ちになりました。
誰かを騙してるわけでも無理して着飾ってるわけでもない、「自分を誇らしく思える自分なりの姿」としての男装がシエルの姿なんだと私自身気付かされました。
――読者からは登場するキャラクターに対し「かっこかわいい」などのコメントが寄せられています。各キャラクターへのこだわりなどがあれば教えて下さい。
すごく嬉しいです、ありがとうございます。シエルはもちろんのこと、イヴにも「かっこいい」という意見が寄せられていたのは意外でした。
登場人物にはみんな「こんな過去があったから、今こういう考え方をしている」とバックボーンを意識させています。周りに嫌われ疎まれてきた故にシエルからの愛情を素直に受け止められないイヴ、無邪気だけど過去の経験から自罰的な面もあるシエル…ちなみに1話に登場したマルク王子のコンプレックスにまみれた過去も考えてあります。
他にもお辞儀をするたび帽子が落ちているユユ、よく見たらどこかにいる謎の生き物あばちゃんなど、キャラクターのちょっとした仕草もこだわって描いています。
皆それぞれの生き様があって、それを全力で貫いています。そこを「かっこいい」と感じていただけてたら嬉しいです。
――散葉ちんみさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
まだまだ駆け出しの身なので明確な目標というと難しいですが…今は少しでも多くの人に作品を読んでもらいたい・知ってもらいたい、その為にどんどん作品を作っていきたいですね。
あとは普段デジタルで作画しているところにアナログ原稿を挟もうかな、と考えています。そういった演出上のチャレンジも色々していけたらと思います。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも『魔女令嬢』を読んでくださりありがとうございます。感想やファンレター、ファンアートもいただくことがあり大変励みになっております。
「たくさんの人に自分の漫画を楽しんでもらいたい」という子どもの頃からの夢が、まさに今みなさんに叶えていただいております。
イヴとシエルの目指す未来がどうなるのか、今後も応援いただけますと幸いです。どうぞこれからもよろしくお願いいたします!
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