サッカー日本代表・冨安健洋選手「サッカー人生で一番苦しんだ」苦難と向き合い“挫折”を“プロセス”に変えてきた強さに感銘<NumberTV>

2024/07/30 18:00 配信

芸能一般 動画 レビュー

「NumberTV」第1回に登場した冨安健洋選手※提供画像

福士蒼汰がナビゲーターを務め、トップアスリートたちの輝かしい「現在」とそれに至るまでの「挫折」をアスリート本人が語るリアルドキュメンタリー番組「NumberTV」(全24回)が7月25日よりLeminoで独占配信された。第1回は2022年に開催されたFIFAワールドカップ・カタール大会では守備の要”として活躍した、日本を代表するプロサッカー選手・冨安健洋選手。現在はイングランドのプレミアリーグ・アーセナルFCに所属し、世界を舞台に活躍する彼がこれまでの人生で立ちはだかった“壁”について語った。(以下、ネタバレを含みます)

U-18日本代表として参加した海外遠征で初めて芽生えた思い


同番組は数々のアスリートのドラマを伝えてきたスポーツ総合雑誌「Sports Graphic Number」とLeminoの共同プロジェクトによって誕生した、トップアスリートの人生にフォーカスを当てるオリジナルドキュメンタリー。苦難を乗り越えてきたプロアスリート本人が、個々の競技人生を変えた「最大の挫折」と「復活」の物語を自らの言葉で語るリアルドキュメントとなっている。

第1回に登場したのは、アビスパジュニアユースからプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせ、19歳で海を渡り、シント=トロイデンVV(ベルギー)、ボローニャFC(イタリア)、そしてアーセナルFCへ移籍するなど、常に上を目指して走り続ける冨安選手。

「めったに受けない」というロングインタビューや彼を知る周囲の人物たちの取材を交えながら、冨安選手は「人生最大の挫折」と明かす苦難の時期を、現在までのキャリアとともに振り返った。

「それまでは海外の意識があまりなかったけど、意識するきっかけとなった」と、冨安選手が転機として話す出来事は、U-18日本代表として参加した、イングランド遠征だったという。当時監督を務めていた内山篤氏が「上には上がいるということを知らされた90分だった」と振り返る試合は、1対5のスコアで日本が大敗。「圧倒的な差として、段違いのスピード感を見せつけられた」と話す冨安選手は「自分は予測して先にプレーをしないと駄目だ」と、再確認できたことで海外移籍を見据えたという。

それから2年後、19歳になった冨安選手はU-15から7年間在籍したアビスパ福岡を離れ、2018年の1月にベルギーリーグのシント=トロイデンVVへ移籍。怪我を抱えながらの移籍となった当時の心境は「1回も練習していないのにずっとリハビリをしているみたい。周りからの目も気になった」とのことで、体重を増加するなどの体作りに取り組んだ半年間だったそう。

2018-2019シーズンはリーグ戦27試合に出場し、慣れない環境下で日本とは異なる守備の仕方を磨くことができた。「最終的な目標はプレミアリーグだったけど、その前に守備の国という印象のあるイタリアでもう少し学びたかった」という冨安選手は、2019年の7月にはイタリア・セリエA ボローニャへ移籍した。

彼をアビスパ福岡時代から知る、恩師の藤崎義孝氏は「(冨安選手は)感情を表に出すようなタイプじゃなかったので、自分から相談に来るタイプではなかった。自身の課題を把握し、克服に向けて地道にトレーニングを積むような選手ですね」と、冨安選手の印象を語る。冨安選手も自分のことを分かってくれているサッカー人の一人として信頼しているだけに、藤崎氏の言葉はとても納得させられる。

サッカー日本代表・冨安健洋選手(C)Hideki Sugiyama/Sports Graphic Number

「ただただ自信を失った。なんで俺が出ているんだろう」


順風満帆に見えるようなキャリアだが、22歳の頃に移籍を決意したイングランドのプレミアリーグ屈指の強豪・アーセナルでの1年目は、“人生最大の挫折”だったと話す。「最初の半年はずっと試合に出させてもらっていて、怪我を機にスタンド側からサッカーを見る機会が増えたんです。外から見て、こんなに難しいサッカーをやっているんだ…と実感し、みんなのレベルの高さをあらためて感じてしまった。このレベルに付いていけるのか?」と、勝手に自信を失ってしまったという。

さらに2シーズン目はサッカー人生の中で一番苦しんだようで「課題が何なのかも分からなくて、ただただ自信を失った。試合に出ている時でさえ、何で俺が出ているんだろう、他の選手の方が良くない?」とさえも思ったことを吐露した。

それでも「最終的に勝てばいいし、自分のゴールにたどり着けば良いので。何も挫折がなくいく人なんてこの世にいないと思うし、挫折で立ち止まっていたらそれはただの失敗でしかない。もう一度立ち上がって、勝てばプロセスに変わる。その一心でもがいています」と、力強い表情とともに思いをあらわに。そんな冨安選手の姿に、感銘を受けずにはいられなかった。

なお、8月8日(木)にLeminoで配信される第2回は、元プロ野球選手の清原和博氏が登場する。

◆文=suzuki