――野田さんはマッチョ芸人としても知られていますが、「マッチョのエンタメ化」をされていると思います。筋トレは「自分が頑張って自分のためにやるもの」というこれまでの認識を変えようという意識が感じられるのですが、なにか意識されていますか。
野田クリスタル:鍛えてる人はストイックな人が多く、トレーニング以外のことに見向きもしない…という人も多いんです。でも“だからこそ”マッチョでいられるワケですけどね。
僕はネタを作る側の人間だし、企画を考えるのが好きな人間でした。ほかのマッチョと違っているように見えたとしたら、これまでは「筋トレは楽しいぞ!」と発信したい人があんまりいなかっただけ…という話だと思います。
マッチョ界にたまたまそういう人がいなかったので、あとはアイデアだけ。機体はそろっているのにパイロットがいない…という状態を見て僕が「パイロットを作ろうじゃないか!」と言い出しただけなんです。
――野田さんがYouTubeで「マッチョ芸人を集めてキングオブコント獲ったら面白い」とおっしゃっていたのが印象的です。ちなみに本気度はどれくらいですか?
野田クリスタル:リアルな話を言うと、「マヂカルラブリー」として出場すると他のユニットで出場することできなくなるというジレンマがあります。
どっちを取るかっていうと…さすがに一旦マヂカルラブリーで…(笑)。2回決勝まで進んで優勝できなかったので、そこのリベンジは1回果たしたいなと。
――リベンジを果たした暁には…?
野田クリスタル:その次はマッチョたちで出て、キングオブコントに挑戦する可能性…もしくはM-1に挑戦する可能性はありますね。
――健康志向の世の中で筋トレをする人が増えています。筋トレをしている側の方からしてみると、これほど筋トレが注目されているのはなぜだと思いますか?
野田クリスタル:昔から言っていることがあります。別にお笑いに限らず、仕事で頑張って成果が出るものというのは少ないと思うんですよ。そんななか、トレーニングは嘘をつかない。やればやるほど筋肉がつく。これほどわかりやすい成果が出て、しかも充実感がある。
ただとにかく世の中が難しくなっているんだな、と思います。世の中が難しいから単純なものに魅力を感じるようになるのではないでしょうか。
筋トレを終え、しっかり食べて1日を終えると充実感というか、1日の終わりに「本当にいい1日を過ごしたな」と思えます。そうした積み重ねが、筋トレの魅力として広まっているのでは。
――野田さんは他の人が思いつかないような企画を考えるなど、お笑いもトレーニングもストイックにやっていらっしゃいますよね。一見すると全く違うことのように見えますが、共通点などはあるのでしょうか?
野田クリスタル:お笑いもこうした筋トレ企画も、使っている脳みそが完全に同じなんですよ。だから「お笑い芸人って全部やっているんだな」と思うことがあります。テレビだけ見ているとひな壇とか演者としての芸人としか見られないかもしれませんが、実は舞台で企画考えて1本のライブ作ったり、ネタを作ったり、舞台のキャスティングも自分でやったりします。
ときにはグッズも自分たちで考える…など、実は全部を担当しています。 別に僕が特別な人間ということではなくて、他の芸人も同じなんですよ。芸人は全員がクリエイティブだし、いろいろなことを思いつく。そのなかで、たまたま僕が“ゲームと筋トレ”に脳みそを使っただけ。実は芸人全員、同じ才能があると思ってます。
たとえばトレーニングとお笑い、どっちの方が真剣なのかというと、どちらも真剣です。でも、そもそも筋トレだって俺のなかではお笑いの1つなんですよ。
――「筋トレはお笑い」、すごく面白いと思います。もう少し噛み砕くと、どのようなことなのでしょうか。
野田クリスタル:コントにしても、バラエティーで使うにしても、みんなそれぞれ“武器”を持ってきます。モノマネがわかりやすいと思うのですが、あれは練習してクオリティを高めますよね。それって、筋トレと同じだと思うんです。舞台上で役に立つトレーニングですね。
舞台に立つためにモノマネのトレーニングをしているだけ、ボイストレーニングをしているだけ。 筋力のトレーニングも別のものだと思っていませんし、それが仕事になっているのであれば勝ちだよね、と。
――今回の第2弾。改めて、野田さんから見どころのコメントをいただけますか?
野田クリスタル:テーマが除脂肪ということで、 “脂肪を取る”という誰もがやりたい、気になっていることをまず取り上げています。もちろん筋トレに興味がない人、最近ちょっと脂肪が気になるという程度の人も、見ていただくきっかけになればいいなと。
そして、「野田クリスタル、ゴールデンとか出てるときよりもこんなに汗かくんだ」という“BSテレ東で密かにどの番組よりも汗をかいてる”事実を知ってほしいです。「こんなに汗かくんだ」ってびっくりすると思うので、「マジだ」「この番組は嘘じゃねえ」というところを見てもらいたいです!
――最後に、野田さんが筋トレをし始めて、いまも続けている理由をお聞かせください。
野田クリスタル:元々はバスケのダンク(シュート)をするためにトレーニングを始めたら、いつの間にかマッチョになっていました。そのうち他のマッチョに負けないよう上半身も鍛えて、ちゃんと見た目もマッチョになるようにしました。
でもいまはどちらかというと…精神が安定して、生きている感じがして、説得力をつけられるというのが理由でしょうか(笑)。特にマッチョが集まるイベントに来たとき、自分がにわかだったらすぐバレると思います。 やっぱりトレーニングを重ねている人は、マジでトレーニングしてる人を尊敬するもの。それは筋肉量とかパワーを度外視で、“トレーニングを続けていること”を尊敬するんです。
とくにいまは熱量を測られる世の中になってきました。やはり上っ面で知識だけあって、昨日今日ちょっと調べてやってきた程度じゃ通用しない。そういう意味で、僕は“説得力を出すため”にやっていると言えますね。
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