なぜ「朝倉未来vs平本蓮」戦は注目されるのか? 約5年にわたる因縁をひも解いてみた<超RIZIN.3>

2024/07/28 10:10 配信

芸能一般

朝倉未来と平本蓮の因縁が「超RIZIN.3」でついに決着撮影=阿部岳人

総合格闘技の朝倉未来平本蓮が、本日7月28日(日)「超RIZIN.3」(ABEMAほかPPVにて全試合生中継)のメインカードでついに激突する。会場となるさいたまスーパーアリーナは、過去に嵐やPerfumeのライブなどで採用され、格闘技の大会では15年ぶりとなるスタジアムモードで開催。4万人超が2人の決着を目撃することとなる。空前の注目を集める朝倉未来vs平本蓮戦、2人の対決に至るまでの5年間にわたる因縁の物語を紐解いてみた。

路上の伝説と美しきドブネズミ


朝倉未来は1992年生まれ、愛知県豊橋市出身。地元では有名な不良だったが、格闘技団体「THE OUTSIDER」に参戦し2階級王者に。その後、日本最大の格闘技団体「RIZIN」に参戦後7連勝をあげ、一躍トップファイターに昇り詰めた「路上の伝説」。2019年よりYouTubeも開始し、2024年7月現在、登録者数337万人。自身でも総合格闘技大会「BREAKING DOWN」を主宰し、実業家として複数の会社も経営する。MMA(総合格闘技)の戦績は17勝4敗。

平本蓮は1998年生まれ、東京都足立区出身。幼少期よりキックボクシングをはじめ、高校一年で「K-1甲子園」優勝。19歳でK-1スーパーライト級王者に勝利し、新世代のエースとしてタイトル目前だったが、離脱。RIZINへと移籍する。MMA転向後は誰に対しても挑発的な言動(トラッシュトーク)を繰り返す「美しきドブネズミ」。MMAの戦績は3勝3敗。

2人の物語のスタートは2019年までさかのぼる。

フェイスオフ(C)AbemaTV,Inc./(C)RIZIN FF

2019年 朝倉兄弟の衝撃


2019年、平本はK-1離脱を表明していたが、契約の影響で1年以上試合ができない状態にいた。そんな中、RIZINで連勝を重ねる朝倉未来や朝倉海の活躍を目の当たりにし、SNSでも「朝倉兄弟まじでカッコいい!」と投稿。この年YouTubeチャンネルを開設し、人気実力ともにセルフプロデュースを成功させていた朝倉未来は、従来の格闘家の枠を超える存在として早々にRIZINトップ選手の座を獲得。試合から遠ざかっていた平本にとって、目標とすべき選手となった。
11月、平本のK-1との契約が終了。RIZIN参戦を表明し、12月にはBELLATOR JAPANでのRIZIN提供試合にてキックボクシングルールでTKO勝ちを収め、涙ながらに「RIZINの看板選手になれるように頑張ります」と語った。

2020年 平本蓮が挑発を開始


RIZINに移籍しMMAデビュー戦に向け、練習を開始した平本はK-1のキャリアから注目を集め、朝倉未来との試合を希望するファンもいた。4月、朝倉がSNSで「総合格闘技ってすぐには強くなれないよ」と投稿。平本も「I am an exception!(俺は例外)」と返す。そんな中、朝倉が自身のYouTubeで「平本蓮くんが僕とやりたいとつぶやいたらしいですけど、何言ってんの?という感じなんですけど…」とMMAデビュー戦も終えていない平本との対戦の可能性を全否定。
すると19日平本が「朝倉未来をぶん殴ってみた」と題した動画をYouTubeに投稿。サンドバッグに朝倉の顔写真を貼りつけ、それを殴って挑発する動画を公開した。
これに対し、朝倉はYouTubeでのスパーリングを提案するも、平本は「みんなの前で未来選手をぶっ飛ばしたいので、しっかりRIZINでやりましょう」とこれを拒否。ただ、まだRIZINでの実績のない平本に朝倉も「ただの売名でしたね」と返すなど、長きにわたる舌戦の口火を切ることとなった。

12月、平本が「RIZIN.26」にて萩原京平とのMMAデビュー戦を迎える。K-1の次世代エースと目された平本がRIZIN移籍後、1年の修行期間を取って臨んだデビュー戦ということもあり、多くの注目を集めたが、朝倉は萩原の勝利と予想。平本もこれに反応し「朝倉のバカは2021年中に必ず仕留める」など再びSNS上で舌戦を繰り広げるが、平本は2ラウンドTKO負けを喫した。

2021年 広がっていく差


前年に自身のYouTubeチャンネルも登録者数100万人を突破し、一般層へも認知度を高めていった朝倉は、この年、総合格闘技大会「BREAKING DOWN」をスタート。瞬く間に人気を獲得する。
また6月13日、初めて東京ドームで開催された「RIZIN.28」でもメインイベントでクレベル・コイケと対戦、試合には敗れるも、トップ選手としての地位をゆるぎないものにしていった。

一方、平本は単身渡米し、武者修行へ出発。朝倉との接点も減ると思われたが、SNSなどでの舌戦は止まらなかった。朝倉が平本を格闘家ではなく「ちょっと華がある評論家」と評価すると、平本も「たかが地下格闘技の団体のチャンピオンが勘違いするな」と反応。格闘技以外でも、歌手活動や絵画など活動の場を広げる朝倉にSNS上で嚙みついた。

結局、コロナのレギュレーションなどの問題もありこの年、平本は試合を行わず、大晦日の「RIZIN.33」の会見で朝倉から「平本蓮、まさか大晦日出ないなんてことないよな?」と挑発される結果となった。

2022年 平本蓮MMA初勝利 才能の開花


22年平本は、3月6日の「RIZIN LANDMARK vol.2」で鈴木千裕と対戦し、0-3の判定負けを喫するも「負けました。でも負けてないです」とマイクアピール。ボロボロになりながらも前を向く姿が観る者の心をつかみ、7月2日の「RIZIN.36」の鈴木博昭戦で、遂にRIZIN初勝利を収める。

一方朝倉は、9月25日「超RIZIN」のメインイベントで、フロイド・メイウェザー・ジュニアとのボクシングルールでのエキシビションマッチが実現。ハワイで行われた会見には平本も登場し、メイウェザーの通訳という体裁で「お前は俺くらい稼いでから調子に乗れ」「メイウェザーさんと朝倉未来のパンチは、ジェット機とハエくらいスピードが違う」など挑発した。

試合では、朝倉がメイウェザーに何度もパンチをクリーンヒットさせる場面があったが、2R終了間際にメイウェザーのカウンターの右ストレートでダウン、その後レフェリーストップにより、キャリア初のKO負けを喫することとなった。

一方、平本は11月6日「RIZIN LANDMARK 4」で格上の弥益ドミネーター聡志と対戦。弥益のテイクダウンを防ぎ、鋭い打撃を当てて判定勝ち。この試合で平本は評価をあげ、試合後「これからは平本蓮の時代です!」とマイクアピールした。

その勢いで12月31日大晦日の「RIZIN.40」への参戦が決まった平本は会見で、メイウェザー戦での頭部へのダメージの影響から欠場中の朝倉に対し「朝倉未来、まさか大晦日出ないなんてことないよな?」と1年前の朝倉の発言を使用して意趣返しを行った。