草なぎ剛主演の日韓合作映画「ホテルビーナス」(2004年)でデビューしたイ・ジュンギも、日本での人気を誇る俳優の一人。俳優の傍ら2012年からは歌手としても本格的に活動していて、昨年に続いて今年も6月に来日ファンミーティングを成功させたばかりだ。
満40歳を迎えた2022年以降は「アゲイン・マイ・ライフ~巨悪に挑む検事~」(2022年)や「アラムンの剣:アスダル年代記」(2023年)といった作品で存在感を見せつけているジュンギは、韓国で視聴率30%超を獲得した「イルジメ~一枝梅」(2008年)をはじめ時代劇との相性も抜群。30歳の節目に出演した作品が、8月15日(木)からLaLa TVで放送されるファンタジーロマンス時代劇「アラン使道伝」(2012年)だ。
「アラン使道伝」は、自分がどうして死んでしまったのかわからない“記憶喪失の幽霊”アラン(シン・ミナ)と、幽霊を見ることができる青年ウノ(イ・ジュンギ)のラブコメディ。史上最高額による海外への放映権販売がメディアで報じられるなど、放送当時大きな注目を集めた作品だ。
強すぎる霊感のせいで子どもの頃から面倒ごとに巻き込まれてきたウノは、アランに助けを求められても「何が幽霊だ、バカバカしい」と知らんぷりのやや自己中心的キャラクター。初めこそ面倒くさがってアランを追い払おうとするが、3年前に姿を消した母の消息を掴むきっかけになるかもしれないと気づき、しぶしぶ“使道(サト)”と呼ばれる役人になってアランの身元捜しに手を貸すことにする。
霊のアランに「なんでそんなに冷たいの!?」と呆れられても「頼みたいなら人間になって戻ってこい」とお構いなしのウノ。そのとぼけたセリフまわしが愛嬌たっぷりだが、意外にもすぐれた洞察力の持ち主で、アランのピンチに駆けつける優しさを隠し持っていることが次第にわかってくる。
豪快なまわし蹴りや、馬で走りながらアランを抱きかかえるなど画面映えするアクションも随所に飛び出し、面倒くさがりな序盤とのギャップは十分。次第にウノが3割増しでカッコよく見えてきて、気づけばハマってしまっている――そんなニクいキャラクターとして描かれていく。オリジナル・サウンドトラック「一日だけ」でジュンギが響かせる澄んだ歌声も必聴だ。
チソンの「ニューハート」、そしてイ・ジュンギの「アラン使道伝」。どちらも、押しも押されもせぬ韓国トップ俳優のエネルギッシュでチャーミングな若き日の躍動が味わえる傑作だ。
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