コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、かんさびさんが描く『呪いの人形の話』をピックアップ。
かんさびさんが2024年7月13日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、1,701件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、かんさびさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
神社の社の中で、自分を捨てた人間もそれ以外の人間もずっと憎んできた、とある一体の日本人形。この人形は、前の持ち主が自分に向かって恨み言や愚痴を聞かせ続けた結果、魂を持ってしまった。しかし、古くなり不要になったためこの神社に持ち込まれた人形は、自分がもうすぐ焼かれることを知っており、なんとかして神社から出ようとする。
そこに一人の幸せそうな少女がやってきて、その子に憑いて徐々に家庭を壊してやろうと企む。夜中になると人形は少女を起こし脅かそうとした。しかし、そんな自分に向かって少女は「お母さんの病気が早く良くなりますように!」と突然祈りだしたのだった。とまどう人形に「あなた、あの神社の神様のお使いでしょう?」と少女は言い、おばあちゃんからあの神社の神様は優しい女神様であることを教えられたのだと説明する。
そしてその少女は、人形に自分の家に来てくれたことを感謝する。すると突然これまでたまっていた人形の毒気が抜け、ただの人形としてその家に置かれることとなったのだった。
作品を読んだ読者からは、「良い話だった」「悪いモノでも扱い方で良いモノになる」など、反響の声が多く寄せられている。
――『呪いの人形の話』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
日本人形といえばもう呪物の代名詞みたいになってしまっていますが、元々は子供の無病息災のために作られたものであり、その後子供たちが遊ぶようになって、日本の子供たちの友達となってきました。白いお顔に黒い髪で、気味悪いと思ってしまうのは仕方ないのですが、元々は子供たちの厄を祓ってくれる存在であった人形を、作品の中で女の子の良き友達にしてみたかったのです。
――『呪いの人形の話』もそうですが、一見ホラー漫画かと思って読んでいたらほっこりした、感動した、というお話を多く描かれています。作品を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
最近はまた怪談ブームがきており、色んなメディアで怖い話や不思議な話を聞きます。そういった話を聞く中で、幽霊も元々は人間であり、事情があって出てくるのでむやみに怖がる必要はないとよく感じるようになりました。もちろん悪意のある幽霊もいるのでしょうけど、おどろおどろしい幽霊話より、もっと別の視点で怪異を見たいと思ったのです。自然の中で時々出くわす怪異の中にも、怖いだけでなく、温かいお話しや面白いお話しもあり、私はどちらかというとそういうお話が好きです。また、読んでいただく人それぞれで想像していただき、不思議な余韻が残るよう、あえてあまり説明を入れないように心がけています。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
女の子が人形にお願いをして、その突飛な行動に人形が毒気を抜かれてしまうところですね。子供の無邪気さには、怨念も勝てないと思うのです。
――今回の『呪いの人形の話』にも「良い話だった」「お人形さんに幸あってよかった」など多くの反響がありました。こういった反響についてどう感じておられますか?
そういったコメントをくださる読者さんが多いことにいつも感謝しております。私の作品の雰囲気や意図を読み取ってくださる方々と同じ“好き”を共有できると、私の独りよがりかもしれませんが、気の合う友達に出会えたようなものを感じることができてとても嬉しいです。
――かんさびさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
現在書籍化のお話しをいただいていまして、こういった不思議なお話を本にまとめる準備をしております。今後もこういった不思議で面白いお話を作り続けていこうと思っています。また、古いものや時代のお話が好きなので、そういうテーマで作品を創り続けていきたいと思っています。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
私がSNSで漫画を投稿しはじめた理由は、同じような世界観が好きな方たちと繋がりたかったためです。おどろおどろしいものではなく、ただ不思議で奇妙な違和感を感じる怪異…そういった世界観が好きな方々にSNSでコメントをいただき、温かいコメントや面白いお話を教えていただけることにとても感謝しています。上述しましたが、私は勝手に、気の合うお友達になれる人たちが読者として集まってくれていると思っています。これからも作品を通じて、そういった読者の方々と交流できることを楽しみにしています。
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