数々の漫画賞に輝き、世界で話題を集めた「ブルーピリオド」が遂に実写化。美術という初めて夢中になれるものと出会ったことで人生が一変する主人公・矢口八虎を演じるのが眞栄田郷敦。八虎の同級生で女性的な容姿を持つユカちゃん(鮎川龍二)役に高橋文哉、八虎の最大のライバルとなる天才少年・高橋世田介役に板垣李光人と、今をときめく実力派若手俳優が集結。本記事では、美術への奮闘劇をまぶしいほどの青春ストーリーとして完成させた3人に直撃インタビューを実施した。
――美術の道を志す主人公が“努力することが才能になる”と情熱を武器に邁進する姿から勇気をもらえました。それぞれの役柄を演じた“この人のこういう才能が羨ましい”と思ったところはありますか?
眞栄田郷敦(以下、眞栄田):板垣くんは、人と違う感性と美術センスを持っていそうな雰囲気が滲みでているところが羨ましいです。高橋くんは、ユカちゃんとして、自分が現場でどういう立ち振る舞いをしたらいいか掴んでいて、美術部メンバーともすぐに打ち解けていて。僕は役と一緒で周りとワイワイ話さないし、馴染んでなかったので、羨ましかったですね。もう現場の雰囲気作りからしてユカちゃんでしたから。
高橋文哉(以下、高橋):うれしいです。ユカちゃんは、みんなから好かれているので、僕もみんなから自分を好きになってもらえるように頑張ろうと思っていました。すっかり役の影響を受けて、美術部女子メンバーとメイクやエステの話で盛り上がりました(笑)。
板垣李光人(以下、板垣):文哉は今回の現場では芝居で対峙することはなかったですけど、他の現場では、全員とちゃんと横に並んで寄り添って進めていく力がある人だなって思いました。今、郷敦さんの美術部メンバーとのエピソードを聞いて、やっぱりそうなんだな、と。
高橋:板垣くんとは趣味嗜好も真逆なのにわかり合えている気がして、仲良しなんですよね。板垣くんって、本人は自分を表現するのは得意じゃないって言っていますが、こちらから見ると、思いが手に取るように伝わってくるタイプなのが羨ましいです。郷敦くんは、しっかりとついていきたいと思わせてくれる背中の持ち主なのが羨ましいです。僕は安心してユカちゃんとしていられました。
板垣:郷敦さんは、終盤のヌードデッサンを書き上げるシーンの集中力がすごくて。僕は監督と一緒にモニターで見ていたのですが、郷敦さんはもちろんスタッフ一同、その絵に懸けるエネルギーの吸引力が素晴らしかったです。
――主人公の八虎は、早朝の渋谷の風景をきっかけに、美術の道を志しますが、皆さんが役者を目指すきっかけになったきっかけを改めて教えて下さい。
眞栄田:僕は初めて映画出演のお話をいただいたのがきっかけ。それまでは全くこの世界に入ろうと思っていなかったです。最初は、上手くお芝居を体現できない悔しさから入りましたね。八虎も最初から美術が得意ではなくて、上手く描けない悔しさがあったと思うんです。やるうちにやりがいを感じられるようになっていったのは、僕も八虎と同じです。
高橋:17、18歳ぐらいまでは料理の道に進みたいという夢を持っていました。「仮面ライダーゼロワン」(2019年)のオーディションで合格をいただいたことがお芝居の世界に入ったきっかけです。放送が始まってから、小学生の低学年の子や幼稚園生の子が自分に目を輝かせてくれることに喜びを感じたことを覚えています。
板垣:僕は小さい頃からモデルをやっていたので、始まりは自分の意志ではなかったんです。いろいろと作品をやらせていただくうちにこの仕事を続けるんだろうなと、ゆる~く思っていたので、決定的な瞬間というのは、ないかもしれないです。
――そうなんですね。共演者の方のお芝居に刺激を受けたなど、改めて役者で頑張っていきたいとスイッチを入れてくれた人との出会いはありますか?
板垣:「ここは今から倫理です。」(2021年)では、精神的に色々と抱えている難しい役を演じました。ドラマが放送されてから、同じような境遇の方からメッセージをいただいて、芝居ってこんなに人の心を癒せるんだと気づいて。自分は、作品と作品を受け取って下さる方を繋げる立場なんだと思ったら、役者の仕事のやりがいを感じました。
高橋:その気持ち、すごく分かります。役者を志したきっかけに繋がるのですが、「仮面ライダー」をやったとき、スーパーで出会った7歳の子とのやりとりが印象に残っています。最初、お母さんが僕に気づいてくれたのですが、お子さんは最初分からなかったみたいで。僕が帽子をとってパッと前髪をかきあげた瞬間、「わぁっ!」って飛び跳ねて喜んでくれたんです。そのとき、子供たちの夢を壊さないように責任を持って頑張ろうと思いました。
眞栄田:スイッチが入ったのは、今回の監督の萩原健太郎さんと「あと3回、君に会える」(2020年)で初めてお仕事させていただいたときです。上手くお芝居ができなくて、死ぬほど悔しい思いをして、もう1度リベンジしたいと強く思いました。そのとき、役者論が綴られた英語の本を貸していただいて。次に作品でお会いすることができた時に返そうと思っていたのですが、この映画でご一緒できて、作品に全力で挑んで、借りていた本もお返しできてスッキリしました(笑)。
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