激動の時代に翻弄される"許されない恋”に揺れる2人の男女 BLACKPINKのキム・ジス主演「スノードロップ」1~3話を振り返り

2024/08/04 12:00 配信

ドラマ レビュー

「スノードロップ」(C) 2024 Disney and its related entities

国民的アイドルグループBLACKPINKのキム・ジスが初主演を務めた、韓流ドラマ「スノードロップ」(毎週月曜~金曜よる7:00、BSJapanext)。2021年12月18日から2022年1月30日まで放送されていた同作品は1987年に起こった民主化運動のさなか、互いに秘密を隠しながら恋に落ちる2人の物語だ。本記事では、1話から3話までの激動のストーリーを振り返る。(以下、ネタバレを含みます)

女子大生の穏やかな日常に飛び込んでくる、運命的な出会い


舞台は韓国で民主化運動が激化しつつある1987年。好秀女子大学の寮・207号室のムードメーカーである新入生ウン・ヨンロ(キム・ジス)。元気で快活な彼女には仲の良い友人も悪い友人もいるが、おおむね大学生活を満喫していた。

その頃、国家安全企画部のもとにドイツで2年前に暗躍していた北朝鮮のスパイ"テドンガン1号”が韓国・ソウルに潜伏中であるという情報が届く。"ブラックタイガー"イ・ガンム(チャン・スンジョ)を中心に結成された調査チームは、顔も名前もわからないスパイを捕まえるべく奮起。「ドイツで暗躍していたヤツが、ソウルに来たということは…ここに標的がいるか、彼にしかできない任務を命じられたかだ」イ・ガンムはそう告げると、テドンガン1号が任務を終える前に必ず捕まえると意気込みを見せる。

後日、ある合コンに出席することになったウン・ヨンロ。合コンをセッティングしたのはへダル下宿という学生寮に住んでいる男性3名で、人数調整で付き合いとしてイム・スホ(チョン・へイン)も参加することに。気合を入れていたウン・ヨンロは同席していたイム・スホと互いに惹かれ合うが、"今日のパートナー”を決めるくじ引きで別の女子に先を越されてしまう。

仕方なく帰路についていたウン・ヨンロは、立ち寄った店で偶然イム・スホと再会。イム・スホから逃げるように会計を済ませようとするも、財布の残金が足りずに店を後にする。「最悪」とこぼしながら歩く背中に、イム・スホの声がかかった。

振り返ったウン・ヨンロに差し出されたのは、先程ウン・ヨンロが買おうとしていたカセットテープ。なぜくれるのかと聞くウン・ヨンロに、イム・スホは「知り合いだから」と笑ってテープを握らせて立ち去っていく。そのままにはできないウン・ヨンロが彼の後を追うと、取り締まりをおこなっている警察と鉢合わせてしまう。どうやら身元の確認を恐れているイム・スホのようすを見て取ったウン・ヨンロは、恋人同士の喧嘩を装ってその場を切り抜ける。

痴話げんかに呆れた警察が離れていったのを見て、「女優になれますね」とウン・ヨンロを褒めるイム・スホ。実は兄がデモ中に捕まったというウン・ヨンロの事情を聞いたイム・スホは、彼女を改めて夕食に誘おうとする。しかし視界の隅に映った車が、彼の言葉を止める。「助かりました」とだけ告げて離れようとしたイム・スホを今度はウン・ヨンロが呼び止め、テープのお返しをするべくまた出会う予定を取り付けたのだった。

好秀女子大学寮に迫る2つの影


だが2人のささやかな交流の陰で、国家安全企画部の目が冷たく光る。経歴詐称を見抜き、テドンガン1号である可能性が高い人間として名前が上がっていたのはイム・スホだった。イ・ガンムらは彼を完全にマークし、ある夜に襲撃をしかける。車に乗っていたイム・スホとその同志に車をぶつけ、強引に止めたイ・ガンム。降りてくるイム・スホの顔を目撃することには成功したのだが、デモに紛れて逃走する彼を一瞬見失うことに。

イム・スホが何とか逃げ延びた先は好秀女子大学の学生寮だった。血塗れの身体で何とか部屋に忍び込んだイム・スホは、傷の痛みと疲労で気を失ってしまう。逃走するイ・スホを追ってきたイ・ガンムたちは強引に寮へ侵入し、捜索を始める。

部屋に戻ったウン・ヨンロが見たのは、血塗れのイム・スホ。あ然とするウン・ヨンロは、部屋に戻って来たルームメイトとともに傷付いたイム・スホと彼の血の痕跡を隠した。徐々にイ・ガンムの調査の手が迫ってきていたところで、寮内に放送が響き渡る。捜査令状を持たずに銃を持って調査するイ・ガンムたちから寮を守るべく、寮長によって部屋から出ないようにと号令がかかったのだ。

号令によって部屋に戻って来た残りの207号室の面々は、部屋で気を失っているイム・スホの処遇に混乱する。通報するか匿うかで意見が割れるなか、ふたたび寮内に放送が響く。イ・ガンムのチームと行動をともにしていたチャン・ハンナ(チョン・ユジン)は、「直ちに施錠」と放送を続ける寮長に銃口を突きつけて「ドアを開けろと指示を」と告げる。命の危機にさらされている状況の寮長だったが、一歩も引かずに鍵をかけるよう改めて指示を放送に乗せる。幸い殴りかかろうとしたチャン・ハンナをイ・ガンムが間一髪で止めたため、犠牲者は出なかった。

やがて意識を取り戻したイム・スホは207号室の面々から状況を聞き、ただちに出て行こうとする。「君達が危ない」と言うイム・スホだが、逃げる道は隈なくふさがれている状態。絶体絶命の危機に、ウン・ヨンロは「あそこなら刑事も入れない」と隠れる場所を提案する。

その頃、寮長の部屋には捜索令状を取得したチャン・ハンナが到着。正式にイ・ガンムの捜査が始まると、イム・スホが逃げ込んだのではと怪しまれていた207号室の扉は蹴破られた。部屋に1人しか残っていなかったコ・ヘリョン(チョン・シネ)に話を聞くと、同室の他の3名は大浴場へ向かったとのこと。寮長の反対を押し切って、イ・ガンムらは大浴場へ向かう。

同性であるチャン・ハンナが単独で大浴場へ入っていくのだが、そこにイム・スホの姿はない。サウナ室の椅子は収納式になっており、そこにイム・スホを匿っていたのだ。なんとかチャン・ハンナの追跡をかわしたウン・ヨンロは、「ご恩はどう返せば…」とつぶやくイム・スホに「テープ代はこれでチャラってことに」と真顔で言う。冗談か本気かわからないウン・ヨンロの言葉に、イム・スホは柔らかい笑みを浮かべるのだった。