福原遥、“密子”の狂気と怯えを瞬時に切り替えた圧巻の演技<マル秘の密子さん>

2024/08/04 16:14 配信

ドラマ レビュー

「マル秘の密子さん」第4話より(C)日テレ

密子の感情を見事に表した福原遥


意識が戻った丈晴に、今井家に近づくなと脅す密子。だが、丈晴は薄笑いを浮かべ、かつて自分が家でDVしていたときの智(清水尋也)や彩(吉柳咲良)と同じ「おびえ切ったガキの目をしている」と挑発した。

再びフラッシュバックに襲われ呼吸が荒くなる密子。かつての姉を思い出した瞬間、何かがプツンと切れ、密子はナイフを丈晴の首に突き刺そうと動いた。すると現れた夏が密子の手を止めた。

「あなたの人生が台無しになるだけ」と言う夏に、心の痛みを訴え「あなたには、この痛みが分からない」と密子。

けれども密子によって変わることができた夏は「私が密子さんの分までちゃんと痛がるから。だから、あなたはもう苦しまなくていい」と語り掛け、密子が夏にかけた言葉である「あなたが変われば世界が変わる…そうでしょ?」と言い、ずっと支えるからと寄り添う気持ちを込めながら諭した。

なぜ、密子は夏に近づき、九条家に立ち向かうのか。実は密子の姉は、九条開発前社長・謙一(神保悟志)の秘書をしていて、半年前の火事で亡くなった小原鞠子(泉里香)。鞠子は、謙一が進めていたプロジェクトの発案者で、火事が事故だとは思えずに、その真相を探ろうとしていたのだった。

物語が始まってから秘密になっていたことが明らかになった第4話。明るく穏やかな笑顔と鋭く射るような視線で「天使か悪魔か」分からない密子を演じてきた福原だが、今回はDVのフラッシュバックに怯える表情、それでも心に秘めた姉への思いから奮い立たせた狂気を瞬時に切り替えて物語を引っ張っていった。

そこに加わる、これ以上自分に何ができるのかという悲しみ、寄り添って抱きしめてくれる夏に驚きつつも涙と共にうれしさが込み上げる様子。振り幅があった密子の感情を見事に表現した演技は圧巻のひと言だ。

さて、物語はラストで密子と夏に電話した丈晴の命が奪われるという衝撃展開を迎えた。まだ明かされていない“秘密”に向かって加速する。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

密子(福原遥)の姉で九条開発の秘書だった鞠子(泉里香) 「マル秘の密子さん」第4話より (C)日テレ