コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、レタスクラブにて連載中で「共感できる部分がたくさんある」と話題の人気作品「合格にとらわれた私 母親たちの中学受験」をピックアップ。
5月23日にX(旧Twitter)で同作が投稿されると、そのツイートには合わせて1万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では作者・とーやあきこさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
自分がかつて諦めた中学受験を、一人娘の綾佳に挑戦させることにした真澄。小学4年生から中学受験用の塾に通わせるものの、綾佳の成績は伸び悩むようになり、目指していたクラスに上がれないまま受験生最後の年を迎えてしまった。
そんな中、同じ塾で綾佳より下のクラスにいたまりんが同じクラスにあがってくる。純粋なまりんとその母親のかなえに段々焦りと苛立ちを覚える真澄は、中学受験を諦めた自分と綾佳を重ねてしまい、綾佳に強くあたるようになってしまう。
一方、同じ塾に通う成績優秀な優也の母・潤子は、夫が自分の出身校に入れることにこだわっていることに疑問を感じながらも、自身も学歴コンプレックスがあり、息子を守り切れずにいた…。
中学受験における母親たちの葛藤と、それを乗り越えるまでを描いた本作。読者からは「中学受験って色々大変なんだなぁ」「共感できる部分がたくさんある」「興味深いテーマ」「グッときた」など多くのコメントが寄せられている。
――「合格にとらわれた私 母親たちの中学受験」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
私の周囲には中学受験を経験したお友達がたくさんいたので、中学受験に関するお話しを聞く機会が多くありました。子どものために寝る間を惜しんでノート作成をしたり、子どもと一緒に勉強をしたり、ママ友に嫌味を言われたり…。
そんなお話しを聞きながら「いつか親目線で中学受験のお話しを描いてみたいな」と思っていたときに編集部からお話しがあり、この作品を描くことを決めました。
――本作を描くうえでこだわった点があればお教えください。
主人公の真澄の台詞です。不快に思われる方がいることをわかりつつも、「親の見栄」「ママ友への嫉妬」がダイレクトに伝わるように理性のきいていない言葉を多く使いました。反対に子どもたちは前向きでまっすぐな言葉を多く使っているので、その対比を感じていただきたいです。
また、本の中に3枚の写真を載せているのですが、1枚目のノートは中学受験をしたお友達のものを。2枚目のお守りは私の母が手作りしたものを。そして、カバーを外すと「子どもたちの未来が明るいものであるように」という願いを込めた満開の桜の写真が隠れています。本編と併せて、細部まで楽しんでいただきたいです!
――本作の中で特に思い入れがあるシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
主人公である真澄の「中受って、子どもというフィルター越しに親の出来を計られてるみたい」というモノローグがあるのですが、中学受験だけではなく「子どもの成果が親の成果に繋がっている」と感じてしまう(また、そう見られてしまう)ことがあり、私自身複雑な気持ちになることが日々あります。
このモノローグはそんな自分の心のぼやきにもなっているので、一番思い入れがあります。
――本作を通して伝えたいメッセージがあればお教えください。
この作品では子どもの世界で子ども以上に頑張ってしまう親を描いています。私自身にも似た経験があるのですが、中学受験に限らず子どもの世界で大人が熱くなりすぎると親子関係がこじれてしまうことがあるので、思い当たる方にとってこの作品がブレーキ代わりとなっていただけたら幸いです。
また、「子ども」という立場の読者の方には「どんなこともきっと良い未来に繋がる」という前向きな気持ちが伝わっていたら嬉しいです。
――今後の展望や目標をお教えください。
心の内側をそっとえぐりだすような作品を描いていきたいです。ただ、それだけにとらわれることなく、さまざまなジャンルに挑戦できるようにひとつひとつの課題を丁寧にクリアして力をつけていきたいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いいたします。
作品を読んでくださった皆さま、そしてインタビュー記事を読んでくださった皆さま、いつも本当にありがとうございます。少し時間はかかってしまうかもしれませんが、どんな形であれ作品を描き続けていきたいと思っていますので、待っていてくださると嬉しいです!
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