さて、次は“キャラクター”ではなく、オカルト現象を取り扱ったホラーの名作を紹介。一つは「エクソシスト」。1973年に公開された作品で、少女に憑依した悪魔と、自らの過ちに苦悩する神父の戦いを描いたヒット作。取り憑かれた少女リーガン役のリンダ・ブレアの演技がすさまじく、首が回転したり、ブリッジ状態で階段を駆け降りてくる、いわゆる“スパイダーウォーク”のシーンは記憶に残っている人も多いのでは。こちらも多くのシリーズが作られたが、2023年の第6作「エクソシスト 信じる者」は原点となる第1作の直接的な続編として作られている。第1作で登場したクリス・マクニール役をエレン・バースティンが50年ぶりに演じたことも話題となった。
“悪魔憑き”の「エクソシスト」と同じくらいの恐怖を与えたのが、映画「ポルターガイスト」。名匠スティーブン・スピルバーグが製作したホラー作品で、郊外の新築の家に引っ越してきた一家を襲う異常な現象が描かれている。これも1986年、1988年に続編が製作されているが、末娘のキャロルを演じたヘザー・オルークが1988年に12歳で亡くなり、他にもシリーズ出演者が数名急死したこともあり「呪われた映画」と言われていた。
他にも興味深いホラー映画はいくつもある。1977年に公開された「サスペリア」は、ドイツのバレエ名門校に入学するためにニューヨークからやってきた少女を襲う恐怖が描かれていて、公開時、「決して一人では見ないでください」というテレビCMが放送され、そのキャッチコピーも相まって話題となった。多くのホラー映画を手掛けたダリオ・アルジェントの作品ということで今見てもその恐怖は変わっていない。2018年にルカ・グァダニーノ監督がリメイク版を製作。オリジナルとはまた違う雰囲気だったが、ダコタ・ジョンソンをはじめ、ティルダ、スウィントン、ミア・ゴス、ジェシカ・ハーパー、クロエ・グレース・モレッツなど、キャストも役に合っていてトム・ヨークの音楽が独特な世界観に合っていた。
こちらはキャッチコピーではないが、「決して音を立ててはいけない」という設定が恐怖を増幅させるサバイバルホラー映画「クワイエット・プレイス」(2018年)も。マイケル・ベイ製作、エミリー・ブラント主演で、音を立てると“何か”(怪物)がやってくる恐怖を描き大ヒットした。予想外の大ヒットにより、当初シリーズ化の予定はなかったものの続編が製作され、「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」が2021年に公開。2024年にはシリーズの前日譚となる「クワイエット・プレイス:DAY 1」も公開された。
なお、ムービープラスの「特集:真夏のホラー祭り」では、8月23日(金)夜11:00からの「フレディVSジェイソン」を皮切りに、深夜1:00から「エクソシスト[ディレクターズ・カット版]」を、深夜3:30からはサム・ライミが製作を務め、母親の呪縛に取り憑かれた女性が体験する恐怖を描く超常現象ホラー「オンマ/呪縛」(2022年)を放送。8月24日(土)夜8:56からは「クワイエット・プレイス」、夜10:45からは「エスター ファースト・キル」、そして深夜0:45からは「エルム街の悪夢」が放送される。
いろいろな意味で背筋が寒くなるホラー映画の数々を見て、酷暑に家の中でひんやりしてみては?
◆文=田中隆信
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