MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の「アベンジャーズ」シリーズ、「ソー」シリーズなどの“雷神ソー”役で知られるオーストラリア出身の俳優クリス・ヘムズワースが、8月11日に41歳の誕生日を迎えた。恵まれた体躯、持ち前のストイックさで41歳とは思えない若々しい肉体美を誇るが、これまで「ソー」以外にもさまざまな役を体現。先日“ハリウッド殿堂入り”を果たすなど、名実ともに世界のスーパースターであるヘムズワースのこれまでの活動の軌跡を振り返ってみたいと思う。
ヘムズワースは1983年8月11日、オーストラリア・メルボルンで生まれた。父親は社会福祉カウンセラーで、母親は英語教師。兄ルーク、弟リアムとの3人兄弟で、のちに3人とも俳優となる。2002年にオーストラリアのテレビシリーズ「グィネヴィア・ジョーンズ」で俳優としてのキャリアをスタート。“アーサー王伝説”を基にした作品で、現代の高校生として生まれ変わったグィネヴィア姫が主人公の物語だ。この作品でヘムズワースはアーサー王を演じた。
2004年にはオーストラリアの国民的人気シリーズ「ホーム・アンド・アウェイ」に出演。ヘムズワースは水泳選手のキム・ハイド役で2007年まで出演した。同作はナオミ・ワッツやヒース・レジャーも輩出しており、この作品への出演がヘムズワースにとっても大きな転機となった。2005年にオーストラリアのテレビ界最高峰の「ロギー賞」の人気新人俳優賞を受賞している。2006年には勝ち抜きダンス番組の「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」のオーストラリア版にも出演し、ダンスの才能も頭角を現していた。
そしてハリウッドを目指し、オーストラリアから渡米。2009年にJ・J・エイブラムス監督の「スター・トレック」で主人公ジェームズ・T・カークの父親、ジョージ・カークを演じ、ハリウッドデビューを果たす。20代のヘムズワースが“父親役”というのは、主人公ジェームズの回想シーンに登場する役のため、その年齢で務めることができた。ジョージは人命を救うために殉職してしまった宇宙艦隊の少佐で、いわば英雄的存在。出演シーンは多いわけではなかったが、その堂々とした演技と存在感は見る者の印象に強く残った。
ただ、「スター・トレック」をきっかけにとんとん拍子に…という感じではなく、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」や「G.I.ジョー」などのオーディションを受けるも、役を得ることはできなかったという。そして、ようやくつかんだのが「マイティ・ソー」のオーディションでの“ソー”役。北欧伝説の英雄で神話的なヒーローでもある“ソー”はハマり役となり、彼の人気を決定づけることとなった。
だが実は、ソー役のオーディションには一度落ちていたという。弟リアムが同じオーディションを受けていて、ほぼ決まりというところまで来ていたが「若過ぎる」という理由で落選。再度オーディションの募集がかけられ、弟からもアドバイスをもらい、ソー役をゲットした。弟の人格者ぶりもすごいが、兄の執念もあっぱれだ。
そんな出来事を経て2011年に公開された「マイティ・ソー」は、MCUの作品で2008年の「アイアンマン」「インクレディブル・ハルク」、2010年の「アイアンマン2」に続いて4番目の公開作となる。ソーは、アスガルドの第一王子にして、次期“王”候補だった。全能のハンマー“ムジョルニア”を持ち、戦闘力もアスガルド最強と称されるほど。王位継承の戴冠式の日、氷の巨人たちに式を台無しにされ報復した。それが、氷の巨人たちとの休戦協定を揺るがせたとして地球に追放されてしまう。
トム・ヒドルストンが演じる弟のロキは、アスガルドの第2王子だが、実は父と母とは血のつながりがなく、アスガルド人でもなかった。ソーに対しては尊敬する気持ちがありつつも、劣等感があったり、嫉妬心があったり、複雑な感情を抱いている。この対照的な兄弟の存在によって「マイティ・ソー」は大ヒット。翌2012年に公開の「アベンジャーズ」にも登場し、そして2013年には「ソー」のシリーズ第2弾「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」が早くも公開された。その後も2015年に「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」、2017年に「マイティ・ソー バトルロイヤル」、2018年に「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、2019年に「アベンジャーズ/エンドゲーム」、2022年には「ソー:ラブ&サンダー」も公開されるなど、ヘムズワースにとって“ソー”は分身というか、ライフワークとも言える役柄となっている。
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