――カサンドラは強いですし、格好良さもありますよね。
佐倉:カサンドラを演じられているエマ・コリンさんが本当におきれいで、ご本人の声もとてもすてきなんです。
加瀬:じゃあ、エマ・コリンさんの声を今後もずっと。
佐倉:そうなれたらうれしいですね(笑)。今回の作品だと剃り上がった頭もお似合いなので、“髪が生えたらどんな感じなんだろう?”と考えていました。
山路:確かにとても似合っていて、きれいな方だなって思いました。
佐倉:役柄的にも嫌いになりきれないヴィランというか、愛嬌(あいきょう)もあって、妖艶さも相まって、「この人、そんなに悪い人じゃないかも」と思わせてくれる感じがしましたね。
加瀬:マーベルのヴィランって、そういうキャラが結構多いよね。
佐倉:ヴィランにも理由がある、という感じですよね。
山路:佐倉さんはあまりヴィランというか敵役、悪役はやらないの?
佐倉:まだ少ないです。
山路:僕なんか悪役ばっかりだから(笑)。
加瀬:俺とか山路さんは“ゴッドファーザー”的な声質だから、そっちのほうが多い。でも、敵役とかヴィランって楽しいでしょう?
佐倉:楽しいです!
――佐倉さんは「デッドプール」と「ウルヴァリン」に対して、どんなイメージを持っていましたか?
佐倉:「デッドプール」はこれまでに見たマーベル作品の中で1、2を争うくらいに好きなんです。
加瀬:へぇ! こんなにたくさんあるのに?
佐倉:はい(笑)。キャラクターだとロケット(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)とデップーが好きで。
加瀬:アライグマの?
佐倉:はい。
加瀬:どっちも口が悪いキャラだなぁ。
佐倉:ユーモアがあるヒーローがとても好きみたいで、ブラックジョークやメタファー的な表現にいつのまにか惹かれてしまいます。
山路:ヴィラン的要素があるのかもよ。
加瀬:本質的なものはそっちかもね(笑)。
佐倉:では、これからはそういう方向で(笑)。そして、ウルヴァリンはデッドプールとは一番遠いところにいるキャラなのかなと感じました。基本的に寡黙ですし、戦闘スタイルも対照的だったりしますし。
加瀬:そうだね。デップーはあれでもスタイリッシュな戦い方を目指しているからね。
佐倉:そんな対照的なキャラが、今作で一緒になって戦うところが見られて本当に良かったです。
――今回もいろんな小ネタが満載ですよね。
山路:デッドプールを演じているライアン・レイノルズのこだわりが感じられました。製作にも入っていますし。
加瀬:セリフでも「フォックスよ、永遠に」っていうのがありましたけど、フォックスからディズニーさんへのバトンを渡したような映画でしたね。
――見どころもたくさんありますが、特に好きなシーンは?
加瀬:たくさんあるんですけど、ウルヴァリンと車の中でケンカをするシーンですかね。一昼夜ケンカして、ぐったりしているんですけど、“何やってるんだ、この2人”って感じで好きですね。あとは、カサンドラに初めて頭の中をグイッてやられたシーンかな。
佐倉:頭の中にグイッと入るシーンですね(笑)。
加瀬:あの映像を最初に見たとき、自分がされているかのような感覚になったんです。「なんだこれ!」って。そのときのライアンのアドリブに合わせて声をあてたんですけど、リアルな感情だったと思います(笑)。
佐倉:その“グイッと”に関して言うと、別の人物の頭にグイッとしたときにカサンドラが「うわ、最悪!」と言うシーンがあって、最悪なときと最悪じゃないときがあるんだな…?と思ったんです。何が違うんだろう、と。魂が汚れていたり、邪悪な考えを持っていたりすると“最悪”な感じになるのかなと。
加瀬:そう考えるとカサンドラって人の記憶をのぞけるもんね。言われてみれば、そのシーンの反応、面白いなぁ。カサンドラ、いい奴じゃん!
――最後に、スーパーヒーロー作品ということにちなんで、皆さんにとっての“ヒーロー”、あるいは“理想のヒーロー像”を教えてください。
佐倉:私は両親です。
加瀬:いいなぁ。どうやったら「両親」って答えられる子に育つの?
山路:本当だよ。
佐倉:いえいえ、適度な距離感ですかね(笑)。それをうちの両親はうまく保ってくれているので、ずっと憧れのままです。
――山路さんは?
山路:うちの近所で花火大会があって、いろいろ出店がある中で金魚すくいもあったんです。うちのカミさんは金魚すくいが得意で、たくさんすくうからあっという間に子どもたちに囲まれて。それを見て「うちのカミさん、ヒーローだな」って思いました(笑)。すくった金魚は、水槽に入れて家で飼っています。
加瀬:へぇ、すごいなぁ。
――加瀬さんは?
加瀬:自分が吹替えをやらせてもらう役者さんかな。いい役でも悪い役でも、「やっぱりすごいんだな、この人たちは」って吹替えをやりながらいつも思うんです。ちゃんとその姿をお借りして吹替えでもいい作品を作れたらなと思いながらやっていますから。その俳優の方たちが僕にとってのヒーローです。
――ありがとうございます。役について、小ネタについて聞かせていただいたので、もう一度見返したくなりました。
加瀬:本当に盛りだくさんですからね。読者の方にもこの作品を見ていただきたいですし、既に見た方も一度と言わず何度でも見てください(笑)。
◆取材・文=田中隆信
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