コムドットやまとが語る、2回目の東京ドームイベント「チケット完売はファンの方との絶対的な信頼関係の証。YouTubeクリエイターが認められるきっかけを作りたい」<コムドット「CDF2024」連載#5>

2024/08/10 10:00 配信

芸能一般 インタビュー

コムドットのリーダー・やまとが語る、2回目の東京ドーム「CDF2024」撮影=山田大輔

5人組動画クリエイターのコムドットが総合プロデュースを務めるイベント「Creator Dream Fes 2024~produced by Com.~」(以下、CDF/ABEMA PPV ONLINE LIVEにて独占生配信)が本日8月10日(土)、東京ドームで開催される。23年に4万人の観客を沸かせた同イベント。2年連続・2回目の開催となる今回は、コムドットのほか、ESPOIR TRIBE -エスポワール トライブ-スカイピースとうあ中町綾(中町兄妹)、ばんばんざい、むくえな、かす、まあたそが出演し、昨年を上回る総勢8組の人気クリエイターがライブパフォーマンスやステージ企画を披露する。
WEBザテレビジョンでは、CDF2024を間近に控えたコムドットのメンバー全員にインタビューを実施。今回はやまとに、演者だけでなく総合プロデューサーとしての視点からもCDF2024について語ってもらった。

チケット完売に「すごくホッとした」

――昨年のCDFでは売れ残ったチケットを手売りするなど苦戦しましたが、今年は開催3ヶ月前に全席種が完売しました。このことについて、総合プロデューサーとして率直にどう思ったか教えてください。

すごくホッとしたというのが素直な感想です。昨年のCDFでは現地チケットを完売することができなかったので、今年は「チケット完売」を総合プロデューサーとして自分がするべき一番の仕事と捉えていました。そのために、チケットの希少性を高めることを意識し、全席同じ値段にしたり、僕たちコムドットのメンバーシップで先行販売したりと昨年と売り方をガラリと変えました。こうした施策がうまく成功したおかげで、早めに肩の荷が下りましたね。

――やはり、チケットのセールスにはこだわられていたのですね。

気持ち的に一番プレッシャーが大きかった部分ですからね。というのも、YouTubeって、基本的に無料で動画を視聴できるプラットフォームじゃないですか。だから、ファンの方たちはお金を使わなくても、好きなYouTubeクリエイターを応援できるわけで。そんな中で、ファンの方からお金をいただいて興行することが、いかにハードルの高いことか昨年痛感しました。

そのハードルを超えていくためには、YouTubeだけに留まらない魅力が必要です。YouTubeを見ているだけで満足されるようなタレント性だったら、おそらくチケットは一枚も売れません。この人に会いたい、パフォーマンスを見たい、歌を聞きたいと思ってもらわなければいけない。

しかも、すでにでき上がっているものではなく、これから作っていくものをプロモーションするのは、ファンの方たちとの絶対的な信頼関係がないと難しい。そんなわけで今回チケットを完売できたのは、僕らが積み上げてきたことが大きく作用したように感じます。ファンの人が動いてくれる熱量は、業界でもコムドットはずば抜けていると思いますから。

プロデューサーとしてこだわったことは?

――昨年のCDFからの一年、コムドットとしてどんな成長があり、また、今年のCDFでその成長をどんな形でファンの方に披露できそうですか?

昨年はグループとして武器が一つもないままCDFに出演しました。でも今年は、5月に1stシングル「拝啓、俺たちへ」をリリースしてメジャーデビューしたので、同楽曲を5人で歌えるというのはコムドットの新しい武器だと思います。それを見せられるのはすごくうれしいですし、ファンの皆さんも期待してくれているように感じます。

――やまとさん個人としては昨年と比べ、どんな点が成長・進歩しているとお考えですか?

今年は、「コムドットやまと」と「プロデューサー・やまと」を切り離すことを意識しました。クリエイターはモノづくりに集中することが大事ですが、プロデューサーは全体を見渡して、あらゆることをより慎重かつ丁寧にやっていくべきだと昨年学んだんですよね。なので、今年は去年の学びを活かし、なるべくトラブルなく円滑に本番を迎えられるよう丁寧に準備を進めていきました。

意識したアーティストやアイドルとの差別化

――そもそも昨年、CDFを立ち上げようと思った理由は何だったのでしょうか。

YouTubeクリエイターの魅力をYouTubeの外に発信したかったからです。YouTubeクリエイターはYouTubeにだけ動画を投稿する性質上、どうしてもYouTubeユーザーにしか訴求できません。そうなると、YouTube以外でデカいニュースを作るしかないわけです。そんな理由から東京ドームでイベントを開催し、普段YouTubeに興味がない人たちにも「こいつら頑張ってるな」「こういう世界もあるんだな」と、YouTubeクリエイターに注目が集まるきっかけを作りたいと考えました。

――YouTubeクリエイターだけのイベントを手掛ける上で、意識したこと、工夫したことがあれば聞かせて欲しいです。

開催にあたって、アーティストやアイドルの方たちと差別化しなければいけないと考えました。アーティストやアイドルは、東京ドームでプロフェッショナルのパフォーマンスを見せてくれますが、僕らはあくまで“素人”です。そんな素人があの大きなステージの上でプロの仕事をしようとするところにこそ、YouTubeクリエイターならではの魅力やエンターテイメントを表現できると思いました。

なので今回のCDFでは、メンバーのゆうたにはピアノ、ひゅうがには殺陣にそれぞれ初挑戦してもらい、仕上がったパフォーマンスをステージ上で披露してもらうというプログラムを組んだんです。これらの企画により、YouTubeクリエイターの泥臭さや、いい意味での素人感が出せると踏んでいます。なおかつ、文化祭レベルにとどめることなく、プロのレベルまで到達できるよう2人には頑張ってもらっています。


YouTuberと呼ばれたくない理由

――やまとさんはCDFを通じて「クリエイターの格を上げていきたい」ともお考えだとうかがいました。

はい。YouTubeクリエイターは楽な仕事だと勘違いされがちです。しゃべって、遊んで、ふざけて、たまに世間に迷惑をかけるヤツ…みたいな。でも実際は、エンターテイメントをつくりあげる中で、心も身体も削りながらやらなきゃいけないハードな仕事なんですよ。

そういった背景があまり見えない職業だと思うので、裏での努力とステージ上での輝く姿、その両面をしっかりとコンテンツとして昇華した上で、世間に伝えていきたい。そうしていけば、「自分たちと同じようにこの人たちも頑張っているんだな」と、YouTubeクリエイターという仕事が受け入れられる気がしているんです。別に芸能人レベルで憧れられたいとは、僕は思いません。あくまで、マイナスを0か+1くらいにもっていければ、大きな貢献だと考えています。

――なるほど。

そもそも「YouTubeクリエイター」は、一般的に「YouTuber」と呼ばれていますが、僕は「YouTubeクリエイター」だと思っています。個人的に「YouTuber」って遊びっぽい印象があるんですよね。でも実際の「YouTubeクリエイター」は、動画を一本投稿する上で、企画やトークの内容、構成、編集などあらゆることを考えていく必要があります。そんなふうに、YouTubeクリエイターはみんな頑張っているからこそ、もっと世間から認められるべきだし、注目されるべきです。そのきっかけを作るのがCDFだと思うんです。

――お話いただいたように、YouTubeクリエイターという職業に世間が持つ先入観・印象を変えるべくアクションを起こしているわけですが、相変わらずアンチからの逆風もあるのでしょうか?

まだまだ全然ありますが、逆に有難いですね。新しい職業が多くの人から受け入れられないのは、当たり前です。様々な職業の成り立ちを勉強していくと、マイナスイメージを払拭したり、長年かけて世間に浸透させたりしたキーパーソンがいるとよくわかります。YouTubeでは僕たちがそういった存在になりたいと考えているんです。

――最後にCDFの意気込み&ファンの方へのメッセージをお願いします。

プロデューサーとしては、2回目だからといって練習をさぼったりとか、「いけるっしょ」みたいな軽い気持ちでみんなが臨まないように場を引き締める存在でありたいです。本番まで全員で高め合っていき、ファンの人に「人生で最高の思い出ができた」と言ってもらえるようなイベントにしていきます。

一方、演者としては、5人で「拝啓、俺たちへ」を歌うことが大きな見どころです。東京ドームで、地元の友だちと作った曲を披露することはこの上ない幸せでしょうし、僕からしたらそれができたらもう「人生満足かな」とさえ思います。ファンの人に楽しんでもらうことはもちろんですが、その瞬間瞬間を噛みしめながら僕自身が最高の思い出を作りたいです。昨年も舞台上で涙を流してしまいましたが、きっと今年も、3回くらい泣く気がします(笑)。

取材・文=小島浩平