【漫画】想像を絶する過酷な職場環境…巨匠・手塚治虫先生のアシスタントによる体験談に「普通なら倒れる」「まさかの姿に笑った」の声

2024/08/26 08:00 配信

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原稿を受け取りに行ったら、そこにいたのは…(C)堀田あきお&かよ/ぶんか社

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、漫画家の堀田あきおさんとかよさんによる『手塚治虫アシスタントの食卓』だ。

同作は、漫画の神様と言われている手塚治虫先生のアシスタントだったあきおさんの当時の思い出が描かれており、シリーズを通して全2巻が刊行されている。その中の第2話と第4話をまとめた『手塚治虫アシスタントの日常』が、comicタント編集部のX(旧Twitter)に投稿されると、多くの人から注目を集めて2.2万もの「いいね」を獲得。そこで作者であるあきおさんとかよさんに、同作を手がけたきっかけや思い入れのある場面などについて話を伺った。

天才漫画家の職場は過酷そのもの

『手塚治虫アシスタントの日常』(1/20)(C)堀田あきお&かよ/ぶんか社

――これは作者であるあきおさんが、かつて手塚先生のアシスタントを担当していた時に経験した日常の風景である。

真夜中の高田馬場、セブンビル2階にある「手塚プロ漫画制作部」は、週刊連載である『ブラック・ジャック』の追い込みの真っ只中。もちろん、人気作家が抱えている連載はこれだけでなく、他にも『火の鳥』や『ブッダ』、『未来人カオス』といった作品も描かないとならない状態だった。

さらに現場には、各雑誌の担当編集者が完成した原稿を受け取るために待機しており、提出期限が迫る緊迫した雰囲気の中、一秒も無駄にすることができない過酷な状況。あきおさんも手塚先生が描いた原稿に、指示通りに手を加え、失敗が許されない中で緊張しながらも必死に自身の仕事を着々と進めていた。

しかし、指定された枚数は完成したものの、編集者から「残りはどーなってんの!?」「あと6ページ」と指摘が入る。と言われても手塚先生から、その原稿は届いていなかった。ドタバタが加速する中、編集者はあきおさんに「4階の先生に内線して」と無理なお願いをするも、あきおさんは立場的に「ムリっスよ~!」と断ることしかできない。

すると、手塚先生から原稿が完成したことを告げる内線の電話が鳴った。あきおさんはドキドキしながら4階に原稿を取りに行き、先生がいる部屋の扉を開けると…。

漫画界の巨匠との日常を描いた同作には、読者から「アシスタントを経験しないと知るすべもない話ばかりで、手塚先生の漫画を読んでた者としては最高の漫画でした」「殺伐とした雰囲気が伝わってくるし、相当大変だったんだろうなって思う」「堀田さんにこんな過去があったとは知らなかった」など、さまざまな反響が寄せられていた。

漫画界の巨星である手塚先生の印象は「エネルギーのかたまり」

『手塚治虫アシスタントの日常』(12/20)(C)堀田あきお&かよ/ぶんか社

――そもそも『手塚治虫アシスタントの食卓』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

かよ:編集部から、「こんなものを描けませんか?」とお話がありました。編集者さんたちとの雑談の中で、あきおが何度か、手塚プロ時代の話を面白おかしく話したことがあったからかも。

――Xに投稿された『手塚治虫アシスタントの日常』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。

あきお:手塚プロでのアシスタントの仕事ぶり、生活ぶり。殺気だった編集者の様子です。

かよ:FAXもなかった時代の漫画制作の様子、手塚先生のパンイチ姿です。

――『手塚治虫アシスタントの食卓』シリーズを通して特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

あきお:1話目の、編集者がカッターをギリギリ言わせて脅すところ。後のデビュー作の担当編集 だった人なので、思い出深いですね。あとは、12話目、先輩Sさんの送別会シーン。好きな先輩だったので。絵も気に入っています。

かよ:9話目のラスト、1本の海老天をみんなで分け合うシーン。ライバルであり仲間であり同志である、そんな存在があることに憧れます。

――漫画界のレジェンドである手塚治虫先生のアシスタントというのは、とても貴重な経験だと思いますが、やはり手塚先生は、普通の漫画家さんとは違う風格みたいなものがあったのでしょうか。また、印象に残っている手塚先生とのエピソードも、ぜひ教えてください。

あきお:エネルギーのかたまり、といった印象です。まさに巨星だった。声は大きく、いつもハツラツとしていて、また人に対して気遣いがあり、とても優しい人でした。下書きがほとんどないところにいきなりペンで描き始め、そのペンの速度は恐ろしく速く、それでも線が生きていました。その姿は、何度見ても感動したものです。

――今後の展望や目標をお教えください。

あきお:最近、日本の子供たちの貧困が気になっています。他方で税金の無駄遣いをしている政治家。そんなものを漫画で描けたら、と思っています。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

あきお:今は特に連載もなく、新刊本などもないですが、これからも、体力の続く限りまだまだ描き続けていきたいと思ってます。よろしくお願いします。

かよ:これから、もっと面白い作品が作れるよう2人で頑張っていきます。お仕事ください。