日本では「Eye Love You」で今年大ブレイクして、一気に知名度を上げたチェ・ジョンヒョプだが、韓国ではそれ以前から主役クラスを何本もつとめていた。
元々、俳優志望ではなく、留学先の南アフリカで知人の紹介でモデルを始めたのがキャリアの始まりだ。留学も自分の意志ではなかった。中学生の時、「友だちのように僕も海外旅行に行きたい！」と両親に訴えたところ、スグに家族でタイに旅行に行く事に。だがそれは単なる旅行ではなく、両親は彼を1人タイに残し、「現地のインターナショナルスクールに合格したら帰ってきていい」と命じたのだ。彼は見事に合格したが、いざそうなると帰るのがもったいなくなり、そのままタイでの留学生活が始まった。
タイで1年間暮らした後、今度は父親の命令で南アフリカに留学する事に。父親は彼に見聞を広げさせる目的だったようだが、インターではなく地元の学校に入学した為、同級生からつらい仕打ちを受ける事もあり、1人寂しく過ごす事も多かったそうだ。
それでもそのまま21歳まで暮らし、先述のようにモデルとして活動していたが、186cmの彼でも現地では一番小さく、オーディションにも落ちまくり…。このまま意地 で頑張っていても先は無いと悟り、「僕は韓国人なんだから、韓国でモデルに挑戦してみよう」と帰国した。
韓国でモデルの経験を積む中で、アメリカのドラマのオーディションを受ける機会が訪れた。残念ながら不合格だったが、これをきっかけに演技に興味が出て、もっと勉強したいと思うようになり、演技の道に進む事になった。
そして、2016年にウェブドラマで俳優デビュー。いくつかの作品に出演した後、2019年にオーディションに合格し、遂に地上波ドラマ「ストーブリーグ」に出演。有望株だがイップスに悩む新人投手役を好演した彼は、ドラマの大ヒットもあり、お茶の間に一気に顔を知らせる事となった。ちなみに、「魔女食堂～」でヒラをサポートするオ氏を演じているハ・ドグォンとは、この「ストーブリーグ」でも共演している。
ハ・ドグォンは最近出演したトークバラエティで、チェ・ジョンヒョプの現在の日本での大ブレイクについて語った。今でも交流している「ストーブ～」メンバーのトークルームで彼を「ジョン様」と呼んで、「オマエがこのグループで一番の兄さん(=偉大という意味合い)だよ」と話している事を明かし、「今までは応援できたが、日本に行ってこれほど成功するとは！」と言って、笑いをとっていた。
話が逸れたが、「ストーブ～」以降、「わかっていても」で2番手をつとめた後、「魔女食堂～」「時速493キロの恋」「社長をスマホから救い出せ!」「無人島のディーバ」と次々に主役クラスでキャリアを重ねた。現在出演中の「偶然かな。」も、「Eye Love You」の大ブレイクを受けて決まったのではなく、「社長をスマホから救い出せ!」の後に撮影した作品だ。
このように、韓国内で実力派若手俳優としての評価がグングン上がっていたところに加えての日本での大ブレイク。「Eye Love You」はNetflixでも世界配信され、韓国でも女子人気が爆発した。
「これからも地道にやっていきたい。一生懸命良い演技を見せて、穏やかに記憶に残る俳優、チェ・ジョンヒョプになりたい」と以前インタビューで語っていた彼。人気の波に流される事無く、これからも真摯に役柄に向き合っていくはずだ。
◆文＝鳥居美保