横浜流星、誰もが認めるストイックな役作りと芝居への情熱「MIMI」で体現した“俳優の内面”に感服

2024/08/19 13:00 配信

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横浜流星※2024年ザテレビジョン撮影

「今回はどんなふうに役作りをしましたか?」聞き方はこの限りではないが、俳優への取材で定番に出る質問の一つだ。役者によってはこの質問が苦手だという人もいるが、だからといって決してその人が役作りをしていないわけではない。人によってその役へのアプローチの仕方や考えは全然違うわけで、言語化するのが難しいこともあろう。7月5日よりLeminoで独占配信されている、クリエーターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS Season5」。その中の1作である横浜流星主演の短編映画「MIMI」が8月16日に配信された。同作では横浜が演じる“青年”の姿を通して、俳優の“役作り”の一端が垣間見えたような気がする。そこで今回はストイックな役作りに定評があり、真っすぐに役者道を突き進んできた横浜のキャリアを振り返りつつ、「MIMI」について紹介する。(以下、ネタバレを含みます)

戦隊ヒーロー出身、“ゆりゆり”で大ブレーク


1996年9月16日生まれ、神奈川県出身の横浜は、2012年に「仮面ライダーフォーゼ」(テレビ朝日系)でドラマデビュー。役者として最初に脚光を浴びたのは、2014年から放送された「烈車戦隊トッキュウジャー」(テレビ朝日系)でトッキュウ4号に変身するけん玉が得意なクールな気分屋・ヒカリ役に抜てきされたときだろう。

当時の会見で、ヒカリのことを「僕とは違ってクールなので、(演じるのが)すごく難しい」と評し、けん玉が得意なキャラクターということで「話を聞いて、速攻でけん玉を買って練習して今ではだいぶできるようになってきました。現場でも暇さえあればやっています」と語っていた横浜。それを裏付けるエピソードとして、トッキュウ1号/ライト役の志尊淳から「(横浜と)初顔合わせのときに、けん玉を鞄から出してきたくらい熱心」と明かされていた。その頃から努力家で、役を体現することへの情熱が強かったことがうかがえる。

横浜が大ブレークした作品として挙げられるのは、プライムタイムの連続ドラマ初出演となった“はじこい”こと「初めて恋をした日に読む話」(2019年、TBS系)。同作では不良だが根は真面目で純粋、ピンク色の髪が印象的な“ゆりゆり”こと大人びた高校生の由利匡平を好演し、ドラマファンを熱狂させた。その役作りで“初めて髪をピンク色に染めた”横浜は、クランクアップ直前の当メディアのインタビューで「とにかく、演技の面ではまだまだ未熟だと思います。ただ、匡平と一緒に成長できたという感覚はあって、『はじこい』はきっと自分の大きな転機になる作品だと思っています」と語っていたが、結果として「東京ドラマアウォード2019」助演男優賞、「日経トレンディ」が選ぶ「2019年“今年の顔”」「Yahoo!検索大賞」大賞&俳優部門賞、「第43回日本アカデミー賞」新人俳優賞など、栄えある賞を総ナメに。自身の公式Instagramはドラマスタート時の14万人から約2カ月で50万人以上増やした(現在は279万人超)。

横浜といえば極真空手初段で、2011年に行われた「第7回国際青少年空手道選手権大会」(13・14歳男子55kgの部)では優勝し、世界チャンピオンになった逸材であり、身体能力を生かしたアクションも度々披露している。2019年に放送された「あなたの番です-反撃編-」(日本テレビ系)や、同じくアクションに定評がある清野菜名とW主演を務めた「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(2020年、日本テレビ系)で迫力のあるアクションシーンを演じ、映画「きみの瞳(め)が問いかけている」(2020年)では1カ月の筋トレで約10kg増やしてキックボクサーの肉体を作り上げた。もちろん自分との戦いだけでなく、撮影前に2カ月にわたってプロのキックボクサーの指導・特訓も受けた。

横浜流星※2023年ザテレビジョン撮影

芝居への情熱でボクシングプロテストに合格


その後も“スキューバダイバー捜査官”役に挑んだ日曜劇場「DCU」(2022年、TBS系)では撮影前にスキューバダイビングのライセンスを取得し、2023年に公開された佐藤浩市とのW主演映画「春に散る」ではボクサー役に挑むため、撮影前にボクシングを始め、日本ボクシングコミッション(JBC)のC級(4回戦)プロテストに合格。ミット打ちのシーンで横浜のパンチを受けた佐藤が「この男(横浜)のパンチが重くてねえ…」と冗談交じりにぼやくほどの実力を身に付けた。空手で世界を制した下地はあるとはいえ、ボクシングやキックボクシングは、空手のそれとは体の使い方も違い、パンチ(突き)一つとっても似て非なるものであり、苦労も多かっただろう。それでもひたむきに努力を重ね、しっかり自分のものにした。どんな苦労もいとわず努力を続けられる原動力は大好きな芝居への情熱にほかならない。

竹内涼真とのW主演映画「アキラとあきら」(2022年)のイベントでは、作品に絡めて「融資をしたいほど、情熱を注いでいること」を聞かれ、“芝居”に情熱を注いでいると答えた横浜。「皆さんそうだと思うんですけど、情熱を注ぐものが僕は他になくて」「これしかないので、これがなくなったら自分じゃない。まだまだっていうのが分かっているからこそ、もっともっと情熱を注ぎたいなということで芝居にしました」と演じることへの熱い思いを口にしていた。

そんな横浜の芝居への探究心、情熱はこれまでタッグを組んだ監督・製作陣をはじめ誰もが認めるところであり、2025年1月5日(日)から放送の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」(NHK総合ほか)の主演も決まっているが、先日同作への出演が発表された生田斗真をして「ストイックで色気にあふれた俳優さんというイメージがあります」というコメントが出るほど。初共演の“同業者”からも一目置かれるものになっている。

横浜流星※2023年ザテレビジョン撮影