「週刊プレイボーイ」とWEBサイト「週プレNEWS」で連載中の「キン肉マン」新シリーズをアニメ化した「キン肉マン 完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)編」(毎週日曜深夜11:30-0:00、TBS系ほか)。32年ぶり、1991年~1992年に放送されたテレビシリーズの続編で、新旧ファンの注目が集まる話題作だ。8月18日に放送された第6話「策略の四次元空間!!」では、ブラックホール(CV. 宮田俊哉)の四次元レスリングとダルメシマン(CV.檜山修之)の完牙殺法が激突。奇想天外な技の応酬、驚きの決着から「やっぱりゆで先生は天才」「ゆで理論全開で最高」とSNSで話題に。Xでは「#キン肉マン」「ブラックホール」「ダルメシマン」がトレンド入りする反響となった。(以降、ネタバレが含まれます)
少年漫画ではしばしば現実の物理法則や科学の見地、自然の事象を越えた不可思議な理論が登場するものだが、「キン肉マン」ほど愉快で楽しく、謎の説得力に襲われる超理論作品はそうそう存在しないだろう。作中、あり得ない事象や矛盾がさも当たり前のようにまかり通っており、ファンはこれを“ゆで理論”と呼んで楽しんでいる。
有名なものでは100万パワーのウォーズマンが放った“1200万パワーのスクリュー・ドライバー”という技がある。ベアー・クローを二刀流にして「100万パワー+100万パワーで200万パワー、いつもの2倍のジャンプが加わって200万×2の400万パワー、そしていつもの3倍の回転を加えれば400万×3の1200万パワー」となって、ウォーズマンは光の矢となる。
我々の知る物理法則を越えた計算式に頭の中がバグってしまいそうだが、この超理論こそが「キン肉マン」の世界に根付く“ゆで理論”なのだ。過去にはネプチューンマンが空を走るイナズマを手で掴んだり、ヘル・ミッショネルズが地球の自転を逆回転させることで時間を巻き戻したりするなど、多くの読者、視聴者を困惑させる“ゆで理論”が数多く披露され、そのたびに勢いと、「ゆでたまご先生が言っているからきっとそうに違いない」という謎の説得力で「キン肉マン」の世界に引きずり込んでいる。
第6話のブラックホール対ダルメシマンの試合でもそんな“ゆで理論”が炸裂し、ブラックホール勝利の道へとつながった。
完牙殺法で全身を食いちぎられ、サリペーティング(唾液分泌)シールド、スペクルボムで四次元技を封じられたブラックホールだったが、フルパワーによる至高の(エクストリーム)ブラックホールでダルメシマンを四次元空間に吸い込むことに成功する。一度吸い込まれれば脱出不可能と言われるブラックホールの四次元空間だが、この空間はブラックホールの体と連動しているという唯一の弱点も存在する。そのためかつてキン肉マンには体の傷(四次元空間の綻び)にホワイトホール(キン肉マンの放屁)を浴びせられ、破られたことがある。
過去の超人レスリングのデータを熟知しているダルメシマンは、自身も四次元空間から脱出するため無数の綻びを品定めするが、その中の1つが否応なしにダルメシマンの本能を刺激する。それが勝利への本能だと確信するダルメシマンはその綻びから脱出するが、なぜかブラックホールはダルメシマンが脱出してくる綻びを先読みし、待ち構えていた。
ダルメシマンが選んだのは、ブラックホールが自ら付けたIの形をした傷の綻び。Iの形は犬の大好物である豚や牛の骨と似ており、ブラックホールは四次元空間から脱出されることを見越して、それをチャンスに変えるために自らIの字の傷を体に刻んでいたのだ。犬の習性を利用したブラックホールの策略にハマり、最後はフォーディメンションキルを食らってダルメシマンはマット上で失神。試合は決着する。
ブラックホールの変幻自在の四次元レスリングが際立った勝利だが、それ以上に視聴者を刺激したのはやっぱり最後の“ゆで理論”。「Iの字は骨の形!ゆで先生が言うなら間違いない!」「え!…そ、そうなのか…?! いや…でも…そうなの…かも!」「とんでもねえ理論を勢いだけで納得させられる」「常人では思いつかない発想。やっぱりゆで先生は天才だ」など、絶賛のコメントが続出する。
また、この他にも「だ、唾液でシールドだと!?」「超人を丸ごと飲み込むフェイスホールなのになぜスペクルボムはつっかえる?」「犬の嗅覚は人間の1億倍、ダルメシマンは完璧超人だから犬の1億倍はもはや気が遠くなりそうで吹いた」「ステカセの100万ホーンだって宇宙を吹き飛ばすエネルギーなんだから。ゆで理論に理屈は必要ないんだよ」といったコメントが並ぶ、楽しい感想戦になっていた。
次回第7話「衝突!超人たちのイデオロギー!!」は8月25日(日)に放送予定。いよいよ明かされる悪魔超人たちの真の狙い、それは完璧超人の皆殺しを図り属性そのものを根絶させるという途方もない目標であった。彼らがそこまで完璧超人を敵視する理由は何なのか? そしてその言葉通りテムズ川に浮かぶ水上特設リングでは、残虐性にかけてはトップクラスの悪魔超人アトランティスが、完璧超人“完刺”マーリンマンの殲滅を謳い奮戦していた。やがて闘いは水棲超人同士の激しい水中バトルヘ発展していき…。
文/鈴木康道
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