「ドラマ好きが高じて女優を目指した」広末涼子のこれまでとこれから

2017/09/13 06:00 配信

ドラマ

週刊ザテレビジョン創刊35周年企画のスペシャル連載 第一弾は広末涼子が登場撮影=西村康


役とのギャップが出ないよう自分を隠していた現場


多忙過ぎる10代を経て20代に入ると、恋愛ドラマにも次々と出演。「Summer Snow」('00年)、「元カレ」('03年共にTBS系)では、堂本剛と共演した。

「『Summer Snow』で演じたユキは心臓病を抱えた体の弱い女性。私自身は丈夫というか、体が強いのに、剛さんは本当に私の体が弱いと思ってくれていて、そう見えているんだなと、そのときも内心ホッとしましたね。若いときは、演じる役とのギャップが生まれないように、現場でも自分を出さないようにしていたんです。『本当はこの人、丈夫なのに…』と思われながら演技をするのも嫌じゃないですか(笑)。だから、お互いの情報交換は必要ないと思っていました。今はそのころに比べると、共演の方々と楽しく過ごすようになったけれど、根っこの部分、役にストーンと入れるようにという気持ちは変わらないですね」

【写真を見る】“ヒロスエ”の人気ぶりは社会現象にも!撮影=西村康


休んでいたことで見えてきたドラマ&テレビの楽しみ方


「元カレ」の後は、2年ほど休み、「スローダンス」('05年フジ系)で連続ドラマに復帰した。

「お仕事を休んで、あらためて気が付いたんです。『そもそも私は、ドラマが好きだからやっていたんだ』って。それまでは一生懸命になり過ぎていて、テーマやメッセージ性がなければドラマをやっている意味がないとまで思っていました。でも、自分が視聴者として過ごす日々では、『日常で疲れているのにドラマを見てさらに疲れたくない』と思っちゃう(笑)。ホームドラマなどは『重くならないドラマって最高!』と楽しめる。そうして純粋な視聴者になって客観視したことで、どこか自己満足的になっていた意識を乗り越えられた気がします。そこで一度リセットされた感じでしたね」

「ビーチボーイズ」出演時に「感情をコントロールしなきゃいけないということを学びました」撮影=西村康


どんな挑戦的な役でも“女性が共感できる役柄”に


そして、現在30代。最近はよりチャレンジングな役柄を演じることも増えた。「聖女」('14年NHK総合)では連続殺人の容疑者となる基子役、「ナオミとカナコ」('16年フジ系)では親友を守るためその夫の殺害を計画するナオミを熱演した。

「『元カレ』で意地悪な元カノを演じたころから意識してきましたが、やはり女性として共感できる役柄を演じたい。その思いは自分の中に強くありますね。だから『聖女』のときも、脚本の大森美香さんとお会いして、悪女なのか聖女なのか分からない女性の方が魅力的ではという話をしました。基子は完全な悪女ではなく、視聴者に『もしかしたら自分もそうなるかもしれない』と思わせるようなヒロインにしたかったんです。『ナオミとカナコ』も、夫殺しという衝撃的な題材で、罪を犯しているからサクセスストーリーにはできないのですが、絶対女性に共感してもらいたかったので、ナオミとカナコを応援してもらえる見せ方にしてほしいという希望は伝えました」

そして、新しいクリエーターとの出会いも。「かもしれない女優たち2016」('16年フジ系)では、バカリズムの脚本でセルフパロディーを演じ、視聴者を驚かせた。10月クールの新ドラマ「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ系)では金城一紀と組む。

「『奥様は、取り扱い注意』は笑いと涙あり、アクションありのホームドラマを金城さんが書くということで、絶対面白い作品になるに違いないと思いました。バカリズムさんの台本も特殊な設定が面白くてワクワクしましたね。最近、あらためて思うのですが、ドラマはコメディーでもシリアスでも、脚本、キャスティング、演出などが合わさった、みんなの才能と努力の結晶。そして、全ての面で面白いというものがそろえば、きっとリアルタイムで見たいと思える作品になるはず。これからも、私が子供のときに、テレビの前でドキドキしながら放送を待っていたような魅力のあるドラマに参加していきたいなぁと思います」