コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、女性からの共感の声が止まらない話題の人気作品「スカートの呪いが解けるまで 幼少期からの性被害が原因で女らしさ恐怖症になった私」(オーバーラップ・はちみつコミックエッセイ)をピックアップ。
作者の魚田コットンさんが8月14日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには合わせて2万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では魚田コットンさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
著者・魚田コットンさんは幼少期から母親に“女の子らしさ”を強要されて育った。女の子であることを理由に脚を開くと怒られ、好みではないフリフリのワンピースを着せられていた。
しかし、小学校低学年の時に遭った痴漢や5年生から続いた義父からの性虐待がきっかけで、女性らしくあることに恐怖を感じるようになる。そして、魚田さんはスカートを履けなくなってしまった。
さらに「私は汚れている」「私なんかを人としてちゃんと愛してくれる人はいない」と自分を蔑むようになってしまう。進学をきっかけに自立し、ようやく心を許せる相手に巡り合えたものの、結婚・出産を経ても尚、“スカートの呪い”は健在だった…。
本作は性被害に遭い自己否定を繰り返してきた魚田さんが、自身を苦しめていた呪いを解き、スカートを手に取るまでの物語。読者からは「私もスカートが嫌いだった」「気持ちが分かる」「本当に気持ち悪い」「この作品がさらに広まって欲しい」など多くのコメントが寄せられている。
――「スカートの呪いが解けるまで 幼少期からの性被害が原因で女らしさ恐怖症になった私」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
もともと、はちみつコミックエッセイの編集長の松田紀子さんが主催されている「コミックエッセイ描き方講座」を受講した際に、卒業制作として制作したものが、こちらの「スカートの呪いが解けるまで」というタイトルのお話です。
卒業制作は「一冊の本を作る想定で、その中の12ページ分を作成」という課題で、私はそこでこの書籍の中にもある「鞄の斜め掛けが怖くなった」ところを制作しました。
この話を制作しようと思ったのは、過去の性被害や異性・同性からの心無い言葉などで傷つき、自分らしくふるまえなくなるという人が沢山いることを知り、私もその一人だったんだと思い出したのがきっかけでした。
「そういえば、男性のことを信じられなくて、オシャレがするのが怖かったなぁ」と思い出し、今それを乗り越えて自分らしく生きられていることを一つのお話にすることで、同じように苦しんでいる人たちが前を向くきっかけになればいいなと思ったのが理由です。
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
本作のクライマックスで「性的同意を紅茶に例えると」という動画を紹介しています。その動画を見た時にパッと視界が開けたシーンは、前半の鬱々とした展開や歪んだ思考を開放するシーンで、読者に一番伝えたいところでもありますので、一番思い入れがあり読んでほしい場面です。
――「ものすごく共感できる」「この作品、さらに広まって欲しい」など大きな反響がありましたが、コメントを読んだ時のお気持ちをお教えください。
とてもありがたいなと感じました。多くの人が大なり小なり同じような思いをしたことがあったということ、それがオカシイと言える世の中になってきたことをすごく嬉しく思いました。
自分の描いたものでこんなことを言うのはおこがましいかもしれませんが、もっともっと広まってほしいなと思っています。
――本作を通して伝えたいメッセージがあればお教えください。
本作は主人公が私なのでどうしても女性目線のものでできていますが、男性女性共にジェンダーにとらわれず自分らしい生き方ができる世の中になってほしいという願いで描きました。
また、性被害に遭った人が陥る歪んだ思考の一部でもわかってもらえれば、そして同じように性被害に遭った方が前向きになれる一助になればという想いもあります。
――今後の展望や目標をお教えください。
今まではエッセイ漫画しか描いてきていなかったので、セミフィクションや創作漫画も描いていきたいです。その中でも大小さまざまな苦しみを少しだけ掬い上げられるようなお話が描ければいいなと思っています。
――最後に、作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いいたします。
いつも読んでくださる方、はじめて読んでくださった方ももしよかったら感想をいただけるととてもうれしいです!よろしくお願いします!
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