【漫画】かつて助けたクモが地獄に垂らした救いの糸…思っていたのと違う“恩返し”に「養ってもらえそう」「凄まじき安心感」の声

2024/10/14 08:30 配信

芸能一般 インタビュー コミック

地獄から救ってくれた一筋の蜘蛛の糸画像提供/留々家(るるいえ)さん

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『蜘蛛の糸』を紹介する。作者の留々家(るるいえ)さんが、7月20日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、留々家(るるいえ)さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

生前救ったクモがベストタイミングで恩返し


「地獄はつらいなぁ…」金棒を持った鬼のそばに倒れて、幽霊が苦しそうな表情で呟いた男。そんなとき、一筋の糸がするっと垂れてきた。

そしてさらに、「わたしは生前のあなたに救っていただいたクモ…今度はわたしが助けてさしあげます」「その糸をのぼってください」という声が響く。地獄に落ちる悪事を働いた男にも、善行の分だけ救いがあったようだ。声に従ってその糸を登っていく男だったが…。

この漫画を読んだ人たちからは、「養ってもらえそう」「凄まじき安心感」「クモちゃんかわいすぎゆ」「蜘蛛の糸見てから絶対蜘蛛だけは生かすようにしてる」「こういうの好き」「この蜘蛛と一緒に地獄を脱出したい」など、多くのコメントが寄せられている。

主人公が地獄で苦しんでいる描写がお気に入り

救いの糸を登った先に現れたのは、意外な相手画像提供/留々家(るるいえ)さん


――『蜘蛛の糸』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

元ネタはもちろん芥川龍之介の『蜘蛛の糸』です。元の話は、正しくは恩返しの話ではないのですが、私の頭の中では、他の色々なお話とゴッチャになり、「蜘蛛の恩返し」の話になっています。そうしたときに、主人公が因果応報で地獄から脱出し損ねるのはともかく、蜘蛛が恩返しを遂げられないという結末がかわいそうで、その思いを遂げさせてあげたい。そうした印象がこの4コマ漫画の元になっていると思います。

――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

蜘蛛の描き方です。この4コマ漫画では、蜘蛛は怪物的でありつつも愛嬌のある存在なので、とくに手足など、あまりグロテスクにならないようにデフォルメする必要がありました。写実的に描くと私の画力の低さが露呈するという問題もあります。

――糸に登って蜘蛛を見つけた時の「え?」という表情が、個人的にお気に入りです。特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

1コマ目の、主人公が地獄で苦しんでいる描写です。地獄で主人公をいじめる鬼がコマに収まりきらないため、一番の特徴である角を描かずに、腰に巻いた虎の皮などで鬼を表現する必要がありました。また、主人公の衣服も、本当は地獄の亡者は裸なんじゃないかなと思いましたが、わかりやすくお葬式の死に装束を着せました。4コマ漫画の1コマ目には色々と説明の描写を詰め込む必要があり、オチの4コマ目よりも難しいです。この4コマでは、その1コマ目を伝わりやすく描けたので、そこが気に入っています。

――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。

「こうなったらこうなる」というお約束です(たとえば「泉の斧を落としたら女神が出てくる」とか「財布を拾ったら天使と悪魔が出てくる」)。特に昔話などの、よく知られている物語は、そうしたお約束の集まりなので、4コマ漫画のアイデアの元にしやすいです。

――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか。

セリフについても言えますが、個性を出そうとしないことです。アイデアを読む人に伝えることが一番の優先事項なので、絵やセリフの個性はその妨げになります。

――今後の展望や目標をお教えください。

引き続きTwitterにアップしたり、同人誌にしたりするという形で人に見てもらうことです。また、漫画を描くのが億劫で、アイデアが溜まっていく一方なので、淡々と漫画を描くメンタルというか、時間の使い方を身につけることが目標です。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

一話完結の4コマ漫画にこだわって描いているので、「このキャラが好き」とか「次の展開が気になる」といった、読む方の「お気に入り」になるフックは少ないと思っています。だから、作品を楽しみにしてくださっている方がいるとすれば、文字通り有難いことで、大変に感謝です。