――「相棒」は毎年、夏に撮影が始まりますが、今年は異例ともいうべき猛暑。現場の様子はいかがですか?
子どもの頃からそうなのですが、僕はなぜか夏の湿度の高い日でも、あまり不快感を覚えることがないんですよ。先日も「今日は爽やかだね~」とスタッフに話しかけたら、「えっ!暑いですよ」って驚かれました。僕からすれば歴代の相棒、全員、暑がりで寒がりなので、みんながわがままに思えます(笑)。
――「相棒」がこれだけ長く続いたのは、杉下右京の唯一無二のキャラクター、そしてブレない正義があったからこそ。ドラマスタート当初から時代が変貌する中で、杉下右京をどんな思いで演じていますか?
おそらく警察官になったときから右京の正義は一貫していて、僕自身もそれを貫いていこうという覚悟を持っています。また、「相棒」全体でいうと、社会的な作品でありながらエンターテインメントでもあるというバランスがうまくとれているのだと思います。視聴者のみなさんが楽しんでくださって、初めて番組は長く続くわけですから…。
――常に時代と共に歩んできた「相棒」の社会性、時代性をどう考えていますか?
「相棒」は今の社会を切り取って描くドラマであり、そのスタイルは徹底して貫いていく。そういう矜持を、現場が持ち続けている作品です。僕らももちろんそれを望んでいますが、プロデューサーのみなさんの姿勢と、脚本家のみなさんの強い思いがあるからこそ実現しているのだと思います。
――これほど長い年月をかけて描かれるコンビは、日本のドラマ界においても稀有。右京と薫の特別な関係性、そして演じているおふたりの関係性についてはどのように感じていますか?
特別、どういう関係にしようと話し合ったことはありませんし、計算してここまで来たわけでもありません。日々、“自分たちは今、何をすべきなのか”という試行錯誤の連続です。そう考えると、語り合わずともこういう空気を作る2人だった…ということに尽きるのだと思います。でも、スペシャルドラマとして誕生してからこんなにも長く続く作品になったことを考えると…彼との出会いはやはり“運命”だったんでしょうね。
――今年は、警視庁創立150年の節目。初回スペシャルでは特命係が”警視庁150年史”の編纂に取り組む場面も描かれますが、撮影を通して感じていることは?
初回は”警視庁150年”という現実の節目とリンクした物語で、警視庁の成り立ちなども描かれていき、警察官のみなさんの誇りを背負ったような、やりがいのあるストーリーですね。さらに、初回スペシャルでは過去シーズンの登場人物が再び右京の前に現れますが、僕にとっては非常に感慨深いものがあります。「相棒」でなければ、こんな再会を果たすことはできないと思うので…。
――そんな初回スペシャルから始まる新シーズン、期待していることは?
「相棒」にはスタート当初から大きなテーマが2つありました。ひとつは、“テレビを見なくなった大人に楽しんでもらえるドラマにしたい”ということ。そしてもうひとつは、“顰蹙を恐れない”ということ。今、誰もが顰蹙(ひんしゅく)を買うのを怖がって萎縮しているような社会になってきた気がするのですが、「相棒」は顰蹙を買うことを恐れずに、これからも挑んでいく…。新シーズンも、“相棒ワールド”はますます進化していきます。