何十年経っても色褪せることのない名作アニメの数々。改めて観ることで、懐かしさはもちろん、新たな発見や新鮮さを感じることができるかもしれない。衛星劇場では「VHSを巻き戻せ!俺たちのOVA特集 vol.5」と題して、1980年代から2000年代初頭にかけて制作され、衛星劇場でしか見ることのできない貴重なアニメ作品をラインナップ。今回は、伝奇時代劇OVAの先駆けとなるアニメ「戦国奇譚 妖刀伝」シリーズを中心に、内容や見どころを紹介していく。
「OVA」とは、1980年代から2000年代初頭にかけて、ビデオやLD(レーザーディスク)などで発売された一連の作品を指す。テレビや映画とも違う、独自のアイデアとチャレンジ精神で多くのアニメファンを虜にしてきた。
今回衛星劇場で特集される「VHSを巻き戻せ!俺たちのOVA特集 vol.5」では、その膨大な作品の中から貴重なタイトルを厳選して放送する。中でも注目したい作品は、「戦国奇譚 妖刀伝」シリーズ。戦国の世を舞台に、妖魔を操り天下を制する織田信長に故郷を滅ぼされた忍者たちが立ち向かっていくストーリーだ。
現在動画配信サービス等での配信はなく、かつ直近の放送も無いシリーズ3部作と、新たなシーンを追加して再編集した“劇場版”が放送される予定だ。
ちなみに8月のOVA特集では、「3×3 EYES OVA第1シリーズ」や「3×3 EYES ~聖魔伝説~ OVA第2シリーズ」「アッセンブル・インサート」「アップルシード」「モルダイバー」が放送された。
衛星劇場では、「戦国奇譚 妖刀伝 I 破獄の章」を9月2日(月)深夜1時から放送。それ以降、9月9日(月)深夜1時からはシリーズ第2作目「戦国奇譚 妖刀伝 II 鬼哭の章」が、9月16日(月)深夜1時15分からは第3作目「戦国奇譚 妖刀伝 III 炎情の章」が、9月14日(土)朝9時30分からは「劇場版 戦国奇譚妖刀伝」が放送される。
“現実には起こり得ないような不思議で珍しいもの”を題材とした伝奇時代劇の先駆け的な存在として知られる本シリーズ。私たちが当たり前のように知っている織田信長にかかわる“本能寺の変”や“山崎の戦い”などの史実の裏側に、“忍者”や“妖魔”などの非現実的なフィクションが盛り込まれている。
本シリーズは、OVAの専門雑誌『アニメV』での年間人気投票において、1987年と1988年に作品部門の第1位を獲得するほど人気を博した。監督は、本シリーズがデビュー作品となった山崎理監督。本シリーズ以外にも、ゲーム「薄桜鬼」のアニメ版や、webアニメ「あんさんぶるスターズ!!追憶セレクション」などの人気作品を手掛けている。監督自身も本シリーズについて、「“史実を基にした歴史ファンタジー”というカテゴリーが存在しなかったことから、当時大きな話題になりました」と振り返っている。
本シリーズに登場するメインキャラクターは、織田信長を倒すべく立ち上がった綾之介(CV:戸田恵子)、左近(CV:井上和彦)、龍馬(CV:渡部猛)の3人の忍者。織田信長が妖魔を使って天下統一を進める中で、綾女(CV:戸田恵子)ら影流忍者が暮らす香澄の里が滅ぼされてしまう。妖魔に対抗できる小太刀を託され何とか逃れられた綾女は、太刀の使い手である左近と、鉾を使いこなす龍馬と結束。ともに信長を倒すため、男装をし“綾之介”と名前を変えて立ち上がる――。
伝奇時代劇ということで、作中には3人が戦いを続けるうえで得体のしれない、そして少々グロテスクな妖魔が頻繁に登場する。モンスターデザインを担当したのは、本シリーズの他に「魍魎戦記MADARA」シリーズや「孔雀王 鬼還祭」など、さまざまな人気OVA作品のクリーチャーやキャラクターデザインを担当したわたなべぢゅんいち氏。奇妙でおぞましいデザインに定評があり、作品にスパイスを加えた。
意思を持った妖魔は綾之介たちに容赦なく襲い掛かってきて、時には仲間や味方が危険な目に遭うことも…。そんな時にひるむことなく妖魔に立ち向かっていく主人公たちの奮闘ぶりは、思わず手に汗握るほど引き込まれる。
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