「この夏一番面白い」と話題のドラマ「飯を喰らひて華と告ぐ」1話12分のショートに詰まった“旨味”を徹底解剖

2024/09/02 08:30 配信

ドラマ コラム

旨味が凝縮された“タイパ”抜群のストーリー


また同番組が「この夏一番」と言われる理由の1つが、“ちょうどよいボリューム”だ。純粋にグルメ物語を描いた濃厚な1時間ドラマとは少し違う、1話12分というおつまみ感覚で見られる軽いテイストがクセになるらしい。

12分間という短時間で繰り広げられる物語ながら、出演者の表情は目まぐるしく変化する。店を訪れてオヤジのたたずまいや料理の腕前に圧倒されたと思いきや、決めつけでズレまくったアドバイスをくれる店主の言葉に唖然。ときに訂正しても全然話を聞かないオヤジへの怒りが燃えたかと思いきや、店を出たあとは台風一過の空にも似た晴れやかな表情を浮かべる。

動画・SNSでもショート動画が愛される現代。1時間ドラマを見るときのように、しっかり“視聴する姿勢”を構える必要がない12分という尺がピッタリハマっているのだろう。さらに前回を見逃しても一向にかまわない1話完結のストーリー。それでいて出演陣豪華の濃厚な演技が合わさり、太く短い12分という“タイパが良い”作品として愛されているようだ。

現代に合ったフォーマット、軽いテイストのストーリーに名優たちの演技…。「飯を喰らひて華と告ぐ」は、振り返ってみるとなるべくして人気になったともいえる。今回のドラマは残り数話となったが、原作はいまだ連載中。ぎゅっと旨味の詰まった12分ドラマの続編をいまから楽しみにしてしまうのは、少し足早だろうか。