<クラスメイトの女子、全員好きでした>矢部Pが語る、ドラマを通じた多様性への思い「今の時代だからこそ世に届けたいメッセージ」

中学時代のスネオを演じた及川桃利は「満場一致で合格」

――及川さんは200名を超えるオーディションでの抜てきとのことですが、オーディションを開催しようと思ったきっかけを教えてください

「ゴツゴツした才能の原石」を見つけるために、今回はオーディションを開催しました。これが高校生役だったら話は別ですが、中学生で個性があるんだけど、身近にいそうなタイプの子たちを見つけたかったんです。これまでの実績や知名度は考慮せず、どちらかというと不揃いで、尖った魅力がある子たちに決まっていきました。ちなみに、スネオの少年時代を演じる及川くんは満場一致で決まりました。彼はドラマ初出演ですが、出演が決まってからの成長速度が凄かったです。

――矢部Pの特にお気に入りのシーン、またはせりふはありますか?

「人と違う所って、魅力的じゃないですか。その人だけの個性って感じで、僕には輝いて見えるんですよ」。2話のこの枝松の台詞が私は大好きで、このドラマの全てを表していると思います。タイトルで「女子、全員好き」と銘打ってはいるものの、性自認について悩んでいる子、話すのが苦手な子、吐きやすい体質の子、色んな子が登場します。枝松は、そんな子たちの全てを受け入れ、ただ、人として愛していた。そういうところがとても素敵で、私も見習いたいと思います。

キャスティングは「どのように成長したのか、説得力が欲しかった」


――「クラスメイトの女子、全員好きでした」だからこそと胸を張れる、すてきなポイントや作品としての強みがあれば教えてください

固定観念にとらわれないところです。通常のドラマですと、過去や回想シーンは説明のために使われることも多く、ドラマ全体に占める割合は多くて30%程度だと思います。ですが、今回は原作の中学時代が大事なので、現代パートと中学生パートの割合は半々を目指しました。

また、中学生が25年経ってどのように成長したのか、その説得力が欲しかったので、中学生役の子たちを全員決めた後に大人をキャスティングしています。大人キャストに似ている子を選んでいるのではなく、実は逆なんですよね。

細かいところでいうと、普通は主人公がメガネをかけていたら、周囲の人物はなるべくメガネを避けます。ですが、今回は隣人の金子も含め、メガネだらけ。メガネは映り込みがあるので、なるべく減らしてほしいと現場は思っているはずです(笑)。

――最終回に向けての見どころと、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします

ラスト2話で物語の縦軸が一気に加速し、小説の真の作者は誰なのか、そして、そこに隠された真実が明らかになります。枝松と美晴、2人の人生が好転していくのかどうかも、しっかりと描いていきますので楽しみにしていてください。平日の夜、寝る前にご覧いただき、最後まで見終えた後に「久しぶりに誰かに会ってみたいな」と思ってもらえたら幸いです。応援よろしくお願いします!