――今作のクライマックスともいえる富田さん作詞の「Stellar」。作詞初挑戦となった前作「Letter」以上に、富田さんの内面にフォーカスした内容のように聴こえました。
「Letter」は希望を歌った楽曲だったので、「Stellar」は葛藤や悩みを書き進めようと思ったんです。実はこの数年は「自分の夢は、魅力はなんだ?」と、考え悩む毎日でした。ある日、周りの友人と夢について話す中、みんな「大舞台に立ちたい」や「いつか芝居を教えたい」と、10年以上先を見て今を頑張っている。一方の私は、昔から目の前のことを頑張ることに精一杯で、いくら頭を捻っても夢も目標も浮かんでこなかったんです。その瞬間、「今しか見えていないし、未来のために何も積み重ねていない。私、空っぽだ」と、気づき恥ずかしくなったんです(苦笑)。
――今を精一杯頑張るのは、いいことだと思いますが。
そうだと理解しつつも、なかなか前向きになれなくて(苦笑)。そんな状態なので、個性の面でも悩む日々だったんです。やはりこの仕事を続けると、たくさんの壁にぶつかるわけで。そうした時ふと、「ステキな方々が数多くいる中で、私って応援されるほどの個性や魅力がないなぁ」と、たまらなく不安を感じてしまって……。そこから、どんどん落ち込んでいったんです。そんな時、リリースイベントなどでファンの方から、「人間性が好き」や、「クールに見えて実は熱い部分があるのが好き」と、内面を褒めていただく機会が増えていったんです。私には見えていなかったことを見つけていただいて、それがうれしかったんです。本当に空っぽな私に、皆さんが意味を付けてくれる。そう気づいたとき、「応援してよかった」と思えるような存在になりたいと、今まで見えてこなかった夢まで少しずつ見つかり始めたんです。それで、空っぽな私を色のない星に見立て、「色のない空っぽな星が、自分らしさを見つけていく」という内容で物語を描いていき、「Stellar」は完成しました。こうした弱音や本音を口にするのは恥ずかしいけど、歌にすれば許されるので助かっています(照笑)。
――心の成長までも刻まれた、大切な一枚になりましたね。
はい。今まで出したすべての作品が、その時々の私にできる最高のものだなって思ってきました。その最高を毎回更新していきたい気持ちがあるので、『Violet Bullet』は今の自分が出せる最高の得点が出ていたら……いいなって。
――なぜそこで弱腰に!
私だけ「大満足!」と宣言するのはやっぱ怖いですよ(笑)。この作品を引っ提げて開催する11月10日の3rdワンマンライブで全曲披露し、皆さんの顔や反応をこの目で見て、やっと「満足いく作品だ」と初めて思えるんだろうなあ。本当に素晴らしい作家の皆さんが集まり、たくさんの想いが詰まった一枚なので、たくさん愛してもらえたらうれしいです。
(取材・文/田口俊輔)
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