井上祐貴、念願の朝ドラ初出演への思いを語る「“言霊”ってあるのかな」<虎に翼>

井上祐貴撮影=篠田直人

共演者とのエピソードも、「星家はみんなお酒が好き」


――演じる星 朋一をどんな人物だと考えていますか?

井上:根は家族のことが大好きなピュアな男の子だと思うんですよね。でも、今は母親を亡くして、常に家族の誰に対しても薄い壁があるような、素直に全てをさらけ出すことができなくなっている子かなと思います。母親が亡くなった原因が父親にあるわけではないとわかっていても、責めてしまう気持ちになったり、そんな自分にも腹が立ったり…。今、朋一が置かれている環境は、ちょっとかわいそうだなと思いますね。

――そんな朋一とご自身とで、重なる部分はあったりしますか?

井上:自分のテリトリーに入られることって、家族ならまだしも他人なら、凄く嫌な気持ちになると思うんですよね。そこにとても共感しました。作中では、星家に寅子さんがずかずかと入り込んできて、それをきっかけに朋一は爆発してしまうのですが、自分の境遇とは違えど、そのしんどさはイメージができました。

――作中の印象的なシーンについて教えてください。

井上:朋一は、寅子さんたちと“家族のようなもの”になることを受け入れるのですが、それを受け入れられない妹・のどかに兄として声をかけるシーンなど、新たなメンバーが加わった星家での場面が印象に残っています。本音はのどかと同じだと思うのですが、それでも丸く収めるために父親や寅子さん側に付いている。そのことを申し訳なく思いながら、彼自身居心地の悪さも感じていると思うんですよね。その撮影ではいろんなところに気を遣いながら居る時間だったので、大変でした。

――そんな場面で工夫したことはありますか?

井上:のどかに対してのセリフは、言い方や言い回しに凄く気をつけました。ちょっとしたニュアンスの違いで、トゲトゲしたりするのでそこは意識して発言するように心がけました。

――ちなみに、井上さん自身はご家族とぶつかった経験はありますか?

井上:過去を遡って考えてたのですが、本当になくて。もちろん、ちょっとした喧嘩は数えきれないぐらいあります…。食べ終わった弁当箱をすぐに出さなかったり、乗るはずの電車に間に合わなかったりして怒られたり(笑)。でもそのぐらいですかね。

――寅子役の伊藤沙莉さんや父親役の岡田将生さんなど、共演者の方とは現場でどんなお話をされましたか?

井上:お芝居の話…というよりは、「帰ったら何が食べたい?」とかたわいもないことをお話しています。「ビール飲みたいなあ」「今日は何を飲もうかな~」とか(笑)。星家のみんなはお酒が好きで飲む人ばかりです。寅子さんの娘役・毎田(暖乃)さんは未成年なのでもちろん飲めませんが、他の5人全員が飲むってなかなかないのかなと。しかも、みんな似た温度感でお酒を欲しているという(笑)。

――井上さんもお酒が好きなんですね。

井上:僕は、お酒好きなんですけど、普段一人では飲まないですね。飲んでいる場が好きといいますか。でも、星家の皆さんは一人でも飲まれる方ばかりで。そんな話をしていたら「もしかしたら、俺今日一人で飲んじゃうかも…」って思った瞬間はありました(笑)。

井上祐貴撮影=篠田直人