一見、今回の戦いは征蟻党が優勢に見えていたが、実は全てが吹雪の目論見通りにことが進んでいた。弧次郎と亜也子も吹雪に言われた通り、逃げるように見せかけて指定された家に瘴奸を閉じ込めることに成功する。そこに待ち受けていたのは時行だ。仏像のある家で坐禅を組みながら待っていた時行は静かに刀を抜く。
一方、敵に嵌められても気にすることなく、冷静に時行の値踏みを始める瘴奸。親と過ごす平和と自由を奪われ、絶望する子供を売った金で酒を飲むことこそが至高と語る瘴奸の極悪非道ぶりを理解した時行は、「買った方が相手の未来を全て奪う」という条件で一騎打ちを申し込むのだった。瘴奸はその勇気に敬意を表し、時行を商品ではなく武士と見て戦うことを決意。長い太刀を捨て、室内戦に向いた短い打刀で時行に切りかかる。
対する時行は征蟻党が襲撃してくる少し前、吹雪に剣術の稽古をつけてもらっていた。驚異的な逃げ上手だが、非力で何も攻撃手段を持たない時行。しかし、その乱世に似合わぬ心根の優しさを弱点ではなく武器と捉えた吹雪は「この世で最も優しく慈悲深く、この世で最も残酷な剣」として、鬼心仏刀(きしんふっとう)と名付けた剣技を時行に授ける。
吹雪に教えてもらった通り、拝むような構えを取る時行。そのまま、憎しみで剣に力を込めることなく、菩薩のごとく救う手心で迫り来る瘴奸を迎え討つ。気づけば、瘴奸の腕から血が流れていた。吹雪の軍師としての才能が印象深く描かれた第八回。視聴者からは「戦局をリードする吹雪が実に頼もしい」「吹雪が有能すぎる」「吹雪の天才さとかっこ良さを改めて実感する」という声が上がった。
◆文/苫とり子
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