夫を必ず大統領にしてみせる… 涙の女王スエが挑む、財閥家の壮絶な戦い<工作都市~欲望のワルツ~>

2024/09/10 10:00 配信

ドラマ コラム

「工作都市~欲望のワルツ~」(C) JTBC Studios Co., Ltd. all rights reserved.

財閥家を舞台にした壮絶な愛憎劇に定評があったスエが5年ぶりのドラマ主演復帰作として選んだ作品も、財閥家を舞台にした壮絶な愛憎劇だった。本作最大の見どころは、やはりスエの圧巻の演技力だ。

「自分の恥部は隠し通し、他人の恥部は赤裸々にさらす。私はそういう人間よ」というジェヒの言葉通り、ジェヒがハンスクの弱みを握って彼女をひざまずかせ謝罪させたかと思えば、直後には自分が弱みを握られハンスクの前にひざまずいて許しを請う…など、恥部の晒し合いから始まる壮絶に次ぐ壮絶な展開が、息つく間もなく訪れる。

演技巧者のスエが、ある時は抜け目ない戦略家、またある時は窮地に立たされた悲劇の主人公、そしてある時は怒りに燃える権力者、と多彩な感情表現でジェットコースターのようなストーリーを引っ張っていく姿は圧巻。そして、そんな“強い女性”ジェヒが一人になった時に流す涙の美しさと虚しさが、胸に突き刺さる。

「暴君」のキム・ガンウら共演陣も実力派


共演者にも、実力派の俳優陣がそろった。ジェヒと骨肉の争いを繰り広げる姑ハンスクは「華麗なる遺産」や「オクニョ 運命の女」のベテラン女優キム・ミスク。冷徹な表情でジェヒに銃口を向け「ひざまずいて許しを請いなさい。涙まで流してくれれば最高だわ」と吐き捨てる姿は毅然としていて美しく、底知れぬ恐ろしさを漂わせる。

ジェヒの夫で人気キャスターのジュンヒョクを演じるのは「アイテム~運命に導かれし2人~」「99億の女」のキム・ガンウ。最近も、「ワンダフル・ワールド」(2023年)でのキム・ナムジュ演じる主人公の夫役や「暴君」(2024年)でキム・ソノ演じる主人公と対立する米諜報員役で存在感を見せる人気俳優だ。本作「工作都市―」では、ジェヒを信頼しているように見せかけつつも裏では不倫を繰り返す、裏切りの人を小憎らしく演じている。

そのほか、大ヒットドラマ「ボイス」シーズン4にソン・スンホンの妹役で出演して注目された若手女優イ・イダムが、ジェヒの信頼する優秀な部下キム・イソル役で出演。落ち着いた深みのある演技で注目を集めるなど、脇を固める実力派たちの演技合戦も本作の大きな見どころだ。

スエを中心として、演技巧者たちが作り上げる壮絶な権力争いの物語。ほんの少しのミスで形勢が大きく入れ替わるジェヒとハンスクの権力争いに、気づけばすっかりハマっている――。「工作都市~欲望のワルツ~」は、そんな中毒性に満ちた心理サスペンスだ。

「工作都市~欲望のワルツ~」(C) JTBC Studios Co., Ltd. all rights reserved.


◆文=酒寄美智子