【漫画】12歳の男女が、偶然“先生同士のキス”を見かけて…それからお互いを意識してしまう初々しい恋の話に「懐かしすぎて泣いた」と“平成女児”が大興奮

2024/10/09 08:00 配信

芸能一般 インタビュー コミック

12歳の初恋、隣の席の男子と雰囲気にあらがえず…(C)まいた菜穂/小学館

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、『12歳。』(小学館)から、『キス・キライ・スキ』をピックアップ。

ちゃお編集部さんが8月3日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、2.1万件を超える「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、現在『ちゃお』(小学館)にて『シャイニング!』の連載も行っている、作者・まいた菜穂さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

恋したいけど、男子はムカつく…そんな12歳の恋愛

『12歳。~キス・キライ・スキ~』(3/32)(C)まいた菜穂/小学館


綾瀬花日(あやせはなび)・12歳は、教室で女子と「理想のキス」について話していた。花日の理想はアイドルみたいな人と遊園地の帰り、別れ際にうでをひっぱり壁に押し付けられて野獣のごとくチューをされるワイルドな感じ。同じクラスの男子・高尾優斗(たかおゆうと)に「子ザルのくせに何女子ぶってんだよ」と言われる始末だった。

そんなとき、男子が6年2組の女子総選挙・結果発表をを行うという。そんなこといつやっていたのか、と怒る女子。1位に続けてワースト1位を発表しようとする男子だが、花日は全力で止めようとする。そこに高尾が現れ、「もうやめよーぜ」と声を上げた。

「どうしてうちのクラスは男女仲悪いの」と泣く先生。こうなったら、と来週の音楽のリコーダーのテストを隣の席の男女ペアで行うことにした。花日は高尾とペアになった。高尾のことを好きな浜名心愛(はまなここあ)は「絶対手出さないでよねっ」と花日に忠告するのだった。

屋上で高尾とリコーダーの練習をする花日。花日はずいぶん下手だった。高尾に「ド下手」と言われていじけるも、「カンペキにできるようにがんばるんだろ?」と聞かれると「あたぼーよ」とはっきり答えた。そんな花日に姿に「綾瀬はそーいうやつだよな」と高尾は微笑んだ。

ちょうど花日は1小節吹けるようになったころ、高尾は何かを見ていた。担任の先生が隣の担任の先生と一緒にいる姿だ。どうやら2人は付き合っているらしい。花日は高尾の近くに駆け寄り、先生を呼ぼうとする。

その瞬間、先生同士はキスをした。動揺した花日は高尾と肩が触れてしまう。互いの顔を見る2人。思ったより近い距離。そのまま見つめ合い2人は…。

次の日、花日は昨日の出来事に動揺を隠せない。一方、高尾は何事もなかったかのように普通だった。気にしているのは私だけ?と元気がなくなっていく花日だった。

放課後、昨日と同じように屋上で練習する2人。花日は寂しさのあまりしおれていた。そんな花日の様子に気付き、気がまわらなかったことを謝る高尾。花日は高尾も自分と同じようにドキドキしていることを知り、安心するのだった。それから花日は高尾にもっと近づきたいと思うようになった。なんだか仲が良さげな2人の姿を見て、心愛は気に食わない様子だ。

花日は心愛を中心としたクラスの女子たちに呼び出される。「今日のリコーダーのテスト、女子はわざと失敗して男子と協力とかムリって見せつけてやろう」と提案される。心愛に「女子みんなでやるんだよ?男子の味方したらどうなるかわかってるよね?」と念を押された。

テストの時間。ことごとく失敗する女子たちに先生も頭を抱えている。花日は私も失敗しないと女子にハブられる、わざと失敗しないと…と思ったが、高尾が一緒に練習してくれたこと、今までがんばったことを無視することはできなかった。

約束が違う、と心愛と口論になる花日。そこで男子に女子がわざと失敗していたことがバレてしまった。すると、心愛が「花日ちゃんにおどされた。急に自分だけ男子の味方をして心愛を悪者にしたいんだ」と泣き始めた。男子は花日に、「土下座しろ」とコールする。

そこに「綾瀬はそんな卑怯なことするやつじゃない」と高尾が言う。それを皮切りに女子たちも花日は何もしていなく、心愛が言い始めたことだと打ち明けた。涙が止まらない花日は高尾にくっつき、陰に隠れる。それを見た男子たちがいちゃついている!キスしろ!とはやしたてる。

そのとき高尾はある一言を言い放ち、花日を連れて廊下に出た。その一言は後に“カレカノ語録”として6年2組の伝説となる――。

花日と高尾の初々しすぎる恋、小学生ならではの男女の関係を描いたこの作品に「こんな恋愛に憧れてた」「ツインテールで小学校通った」と連載当時の読者が続々とコメント。「懐かしすぎ泣いた」「おれたちの愛読書」「私の青春」と多くの声が寄せられ、たくさんの人に愛されている作品と改めて分かった。

「懐かしすぎて泣いた」“平成女児”を虜にする作者・まいた菜穂さんにインタビュー

『12歳。~キス・キライ・スキ~』(11/32)(C)まいた菜穂/小学館


――『12歳。』はどのようにして生まれましたか?創作のきっかけをお教えください。

「12歳。」はよみきりから始まりました。
「12歳。」を描く前はホラーや恋愛色の強くないものを描いていましたが「恋愛で回していく話もぜひ考えてみて下さい」と編集部に言われ、私が恋愛漫画初心者なので主人公も初心者で一緒に恋愛を知っていこう!と思い主人公を小学生にしたラブストーリーにしました。

――本作は、綾瀬花日×高尾優斗、蒼井結衣×桧山一翔、相原カコ×小日向太陽の3つのカップルを中心に物語が展開されていますが、それぞれのキャラクターやカップルに込めた想い、キャラクターデザインのこだわり等ございましたら、お教えください。

「12歳。」で初めに生まれたのが花日です。花日はTHEちゃおの主人公!といった元気で明るい子です。恋愛や身体の成長に戸惑うちゃおっ娘と同じ目線に立っている女の子にしました。花日が子どもらしいので、高尾は包容力のある男の子になりました。

そして、花日の友達で、他の子より少し成長が早い女の子として結衣が生まれました。ケンカップルが好きなので結衣のお相手としてはツンツンした男の子の桧山が生まれました。描いているうちに結衣の母親が亡くなっていたり、父親に甘えられなかったりと心の痛みが生まれてきたので何とか桧山に救ってほしいと思いながら描いていました。

最後は、「12歳。」を連載していくなかで読者の方から「私は花日や結衣みたいに好きな人と話せない」というお手紙をたくさんいただいて、内気なカコが生まれました。カコが内気なので明るく太陽みたいな男の子の小日向が生まれました。

――作中に登場する大人気キャラクター“うさぱんだ”の誕生についてもお教えいただけますでしょうか。

ずっと連載するにはキャラクターがいた方が良い。と編集部に言われていて、たまたま花日のシャツに描いたうさぱんだを担当さんが見て「これ良いじゃん」と言われて採用されました。

――作中の登場人物と同世代の読者だけでなく、リアルタイムで購読していた読者からも度々「うちらの青春」と熱い支持を受けております。漫画を描く際にどういったところから発想を得られていらっしゃいますか。また、心がけていることはございますか。

小学生がぶつかりそうな壁や悩みについて、私自身が体験したことを思い出したり、リアル小学生に取材をしたりしながら描きました。

小学生の頃の自分が読んでどう思うか、は常に意識しています。例えば生理の話題は、「主人公がスカートに血をつけている絵は、小学生の自分が読んだら引いている」と思ったので作中には出さないようにしていたりします。

――現在、『シャイニング!』が連載中ですが、特にここに注目してほしいというシーンや
展開はございますか。

シャイニング1巻(C)まいた菜穂/小学館


「シャイニング!」は私が今まで描いたことのないものに挑戦しようと思い描いています。ちゃおでは見たことのない構図にもチャレンジしているので、そこは見どころかなと思います。

例えば5話のラスト(コミックス2巻収録)、ヒロインの友だちの黒金清華が全てを諦めている顔は、描いていて自分でもこの先の展開が気になってワクワクしました。「シャイニング!」のキャラクターはそれぞれ自分が望む姿への壁や悩みを感じています。しかしヒロインと出会うことでそれぞれの物語が広がっていき、それぞれが自分で選択をして未来へと歩んでいきます。

5話のラスト(コミックス2巻収録)(C)まいた菜穂/小学館


・大根ねね(おおねねね)

大根ねね(C)まいた菜穂/小学館


真っ直ぐ全力で夢に突き進んでいく女の子です。読者の方にも「元気がもらえる」と言っていただける、描いている私も元気になれる女の子です。ねねと出会ったことによって変わっていく周りのクラスメイトに注目しつつ、読者のかたにもねねによってポジティブな気持ちになってくれると嬉しいです。

・滝藤瀧(たきとうたき)

滝藤瀧(C)まいた菜穂/小学館


人と深く関わらずドライに適度な距離を保ってきた子ですが、ねねと出会って変わっていく姿を見てください。また、いつもだるそうにしていて彼の周りに安眠グッズを色々出しているのでチェックしてみてください。

・佐倉葵(さくらあおい)

佐倉葵(C)まいた菜穂/小学館


かわいいって言われるよりかっこいい人になりたい、弱い自分を変えたい。と、もがいている男の子です。彼の原動力は「ねねちゃんにかっこいいって言ってもらいたい」という気持ちが強いのですが…これからの成長を描くのが楽しみな子です。

・黒金清華(くろがねせいか)

黒金清華(C)まいた菜穂/小学館


両親ともに有名人の2世俳優です。親が偉大すぎて自分自身を見てもらうことに諦めを感じつつ誰かに見てもらいたい。と密かに願っています。ねねと仲良い姿を描くのが楽しいです。

・茶川蓮(さがわれん)

茶川蓮(C)まいた菜穂/小学館


世間ではいわゆるイケメン俳優としてイメージを持たれており、いつも顔だけ褒められることに慣れてしまった一方でねねと関わっていくうちに自分の本当の「欲望」に気が付く男の子です。冷静でニコニコしていますが彼が慌てたり冷静でいられなくなるシチュエーションを考えるのがこれから楽しみです。

・春うらら(はるうらら)

春うらら(C)まいた菜穂/小学館


負けず嫌いで芸能界を目指しているヤツはみんなライバルだと思っているかなり強気な女の子です。一見嫌な女の子に見えますが、芯の強さや彼女の持つ正義に惹かれながら描いています。この“ツン”っぷりが描いていて楽しくてうららのページは先にペン入れしたりしています。

春うらら(C)まいた菜穂/小学館


じつは今後も魅力的なキャラクターが登場していく予定です。10月3日発売のちゃお11月号でも1人新たなキャラクターが登場しているのですが、今後とても楽しみにしています。

――まいた菜穂さんご自身や作品について、今後の展望や目標をお教えください。

現在ちゃおで連載している「シャイニング!」をたくさんの方に読んでいただきたいです。子どもはもちろん、大人が読んでも魅力を感じるキャラがたくさんいると思います。大人だって何かをはじめることはドキドキしたり、始める前に諦めちゃったりします。でも「こうなりたい」と望む姿を持つすべての方の背中を押せるようにこの作品を届けていきたいです。

――最後に、『12歳。』のファンの皆さん、『シャイニング!』をはじめとする作品を楽しみにしている読者やフォロワーの皆さんへメッセージをお願いいたします。

「12歳。」を読んでくれていたみなさま、ありがとうございます。みなさまのおかげで今も漫画を描けています。現在ちゃおで「シャイニング!」を連載しています。毎月頭を抱えて悩みながら描いていますが、印刷されたものを自分でも何度も読み返す程大好きな作品になっています。ぜひ読んでくださいね。最近は担当さんが公式Xを開設してくれたのでそちらへの感想もお待ちしています。