――北村さんといえば、Netflixで配信中の「地面師たち」も大変な話題ですが、俳優さんから見た配信ドラマならではの面白さはどこにあると思われますか?
配信ドラマに関しては人により様々な考えがあり、よく「映画界にとっての脅威になるんじゃないか」とか言われることもありますけど、僕はどっちの楽しみもあっていいんじゃないかなと思います。僕はこれまでTVドラマや映画の世界で生きてきて、もちろん人生を賭けてやってきた仕事ではありますが、だからといってそればっかりを過大評価しすぎるのも変だと思いますし、配信だから映画だからとか関係なく自由に楽しく観ていただければそれでいいですね。その上で、配信ドラマの作品にもよりますが、ある程度予算もかけられますし、その分クオリティが高い作品も多いので僕もよくチェックしますし、出演する側としてもやりがいがあります。
――「地面師たち」の撮影はいかがでしたか?
「地面師たち」に関しては絶大な安心感がありましたね。スタッフもキャストも技術と経験値の両方を兼ね備えた方が集まっていたので、人のことを心配する必要もなく自分の芝居に集中することができました。どんなことがあっても臨機応変に対応できる人ばかりだから、ピリッともしない現場でしたよ。撮影の合間はとにかくみんなでお喋りしていて、「本番でーす」って呼ばれたら芝居を始める、みたいな感じです(笑)。
――今は演じる側のお話でしたが、ユーザーとして動画配信サービスを利用されることもありますか?
結構、利用してますよ。今日なんかも朝から晩まで撮影で、そうなってくると連ドラなんてリアルタイムで絶対観れないんですよね。だけど、やっぱりチェックしておきたい作品ってあるじゃないですか。そういう時はもうTVer一択ですね。今までは自宅のテレビで録画してたんですが、なかなか家にいる時間もなかったりして溜まってくると「もういいや」ってなっちゃうんですよ。そこを解消してくれたのがTVerですし、サービスが始まった時は「よっしゃ!」って思いました(笑)。TVerならどこでも観られるし、どこまで観たかも分かりやすいので使い勝手がいいですよね。
――北村さんはTVドラマや映画では常にご活躍ですが、今年4月にミュージカル初出演されたり、配信ドラマにもチャレンジされたりと、さらにフィールドが広がる中で、ご自身の今の心境としてはいかがですか?
率直に楽しいですよ。昔は「役者バカにならなきゃいけない」と言われることもありましたけど、今はむしろ「周りが見えなくなるから副職を持て」と言われる時代ですよね。それに、人生1度きりなんですよ。僕はずっとそれを思っていて、だからこそ色んなことにチャレンジしたいしたいんですよね。もちろん役者の仕事が好きなので、まずは俳優業という枠の中でも幅を広げていけたらいいなと思っています。先のことを考えて行動しないより、「これでダメだったら最初からダメだったんだ」ぐらいの気概でチャレンジして、若い世代の人たちに挑戦することは悪いことじゃないと伝えられたら尚嬉しいです。
――だからこそ、今回の作品にも挑戦してみようと思われたんですね。それでは、最後にこのインタビューを読んでいる方にメッセージをお願いします!
まだ探り探りなところがあり、最終的にどんな作品になるかは分かりませんが、僕は一番このドラマが届けたいのは「若者の本音」だと思ったんですよね。言論の自由があるようでないような時代にどんどんなってきている中で、多分一番言葉を発するのって若者だと思うんですよ。いつの時代もそうですけど、凝り固まった社会をほぐしてくれる若者の言葉って僕はすごく重要だと思っていて。その中には間違いもあるかもしれないですけど、逆で正解だけがいいとも限らないし、決して侮れない。だから僕もこの作品で少しでも多く考えさせられる若者の言葉を引き出していきたいと思っているので、この自由に物言えぬ窮屈な時代に若者の本音に触れてみたい方はぜひ観ていただきたいと思います。
■取材・文/苫とり子
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