長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』(テレ東)をチョイス。
さて、もう20年近くやっている人気番組、『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』。初放送が2005年10月21日だったというが、当時の私は9歳。なんとなく、この番組が始まったときのことを覚えている。そこんトコロて……ダジャレだねえ……と思いながら、結構見ていた覚えがある。ちなみに関係ありませんが、『学校じゃ教えられない!』という深キョンのドラマもありましたよね。あまり覚えてないけど、毎週見てたなあ。当時の私は大のテレビっ子であったのだ。テレビか塊魂しかやることがなかった。
さて、そんな所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ、今回私の鑑賞した回は、街繰り出し系バラエティとなっていた。入るのに勇気のいる店に入ってみよう、という企画だ。エイトブリッジ別府と、ザ・マミィ酒井が調査人として、東京都内の”怪しすぎる店”に潜入し、その実態を探っていく。
3軒の”怪しすぎる店”が登場するのだが、個人的に最も目を引いたのは、千駄木にある『マキシマ研究所』。ごく普通のアパートの一室にて、”マキシマクラウン”という、帽子でもカツラでもない被り物を製作・販売しているお店だ。ミラノコレクションでお披露目されたこともあるというこの”マキシマクラウン”が、非常にゴージャスで素晴らしいのである。オードリー・ヘップバーンが白黒映画で被っていても不思議じゃない華やかさ。自分で被る勇気は出ないものの、手に持ってずっと眺めていたくなる逸品である。
東京では勿論、地元や、旅先の街を歩いていると、こうした入るのに勇気のいる店にたくさん遭遇する。中がどうなっているのか気になって気になって、気になったまま歩き去っていく虚しさに覚えのある人は多いはず。ドアを開けた先に何があるのか、知らぬまま死んでいくのである。私は、人生の豊かさとは、何よりも経験であると信じている。やれることをやれるだけやって死んでいくのが私の理想(もっと言えば、最大の豊かさとは死なないことだ。やれることをやれるだけやり続けて、そのまま永遠を過ごすのが私の理想。やれることをやれるだけやるというのは途方もなく難しいが、まあ永遠くらいなら今からでも気軽に目指すことができるだろう)であり、その一瞬に勇気を振り絞り、ドアを開け、その先を目の当たりにする……この繰り返しで、人生は豊かになっていく。たいてい愛も見つかる。色んな箱を開けるのだから、色んなものが手に入るはずなのだ。豊かさは勇気から……ふり絞っていきましょう。
■文/城戸
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