俳優の奥平大兼が、9月20日に21歳の誕生日を迎えた。奥平は映画「MOTHER マザー」(2020年)でデビューし、同作の演技が評価され「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞。最近では8月に公開された映画「赤羽骨子のボディガード」にメインキャストの一人として出演し、9月27日(金)には菅田将暉と共演する映画「Cloud クラウド」の公開も控えている。今後数十年にわたってドラマ・映画界で輝きを放つであろう、次代を担うホープ・奥平のこれまでのキャリア、その魅力を紹介する。
奥平は中学時代に東京・渋谷でスカウトされ、現在の事務所に所属。演技経験ゼロのまま臨んだ映画「MOTHER マザー」のオーディションに合格し、長澤まさみ演じる主人公・秋子の息子・周平役を務めた。自分勝手な母に振り回されながらも、母の要求に応えようともがく周平を体現し、「第44回日本アカデミー賞」だけでなく「第94回キネマ旬報ベスト・テン」「第63回ブルーリボン賞」など、名だたる新人俳優賞を受賞した。
ドラマデビューは「MOTHER マザー」公開後、2020年10月期に放送された「恋する母たち」(TBS系)。同作では3人の“美しい母”の一人である、吉田羊演じるバリバリのキャリアウーマン・林優子の息子役で、本来頭は良いのだが、長らく引きこもり生活を続けている名門校に通う高校生という複雑な役どころを好演した。
その後もドラマ「レンアイ漫画家」(2021年、フジテレビ系)や「ネメシス」(2021年、日本テレビ系)、「卒業式に、神谷詩子がいない」(2021年、日本テレビほか)、「ZIP!朝ドラマ『サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days』」(2022年、日本テレビ系)、「早朝始発の殺風景」(2022年、WOWOWプライム)、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(2023年、日本テレビ系)、「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」(2023-2024年、ディズニープラス)、映画では「マイスモールランド」(2022年)、「あつい胸さわぎ」(2023年)、「ヴィレッジ」(2023年)、「君は放課後インソムニア」(2023年)、「PLAY!〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜」(2024年)など、さまざまなジャンルの作品にて独自の存在感を放ってきた。
言語化するのは非常に難しい感覚なのだが、不思議と目で追ってしまう俳優だ。彼にとって同じ事務所の先輩・横浜流星と初共演した映画「ヴィレッジ」では、借金を抱え、違法投棄に手を染めながらも、どこか憎めない純粋さと優しさがにじみ出ているごみ処理場の作業員・龍太を演じたが、藤井道人監督からのリクエストである“映画のテンポを崩す役”を見事にこなし、“陽キャ”だけどどこか陰のある役を体現した。初挑戦だった金髪&タトゥーというビジュアルもさることながら、「この人には何かがありそう…」と、どうしたって気になってしまうオーラをまとっていた。
奥平は、中学時代の3年間バスケットボールに打ち込んだほか、6歳から6年間空手を続け、9歳だった2012年には全国武道空手道交流会「形」で優勝、および組手試合で第3位に。2013年には第八回拓道杯空手道選手権大会「上級型の部」優勝、2014年全国武道空手道交流会組手試合準優勝などの成績を残した。それらで養った集中力、運動能力の高さで、今後アクション俳優としての活躍にも期待がかかる。「赤羽骨子のボディガード」ではその片鱗を見せており、一見、普通の生徒っぽいのに実はクラスで最強、圧倒的なリーダーシップを発揮する司令塔というギャップのある役で、格闘アクションでも魅了した。「ネメシス」での天才AI開発者役もそうだが、「パッと見すごそうには見えないのに」ひょうひょうととんでもないことをやってのける役を演じられ、そこに得も言われぬ説得力すら持たせてしまう。
「赤羽骨子のボディガード」のプロデューサーである加藤達也氏が、映画オフィシャルサイトに寄せたコメントで「ふとした時に20歳のあどけなさも感じさせ、全く底が見えない“怪物”感のある俳優さんです。染島澄彦という人気キャラクターを任せるのに相応しい、ベストな方にお願いできて感無量です」などと起用理由を語っているが、ずばり奥平の魅力はその“底知れぬ何か”を感じさせる稀有な存在感だ。「最高の教師―」では、本心が読めず、つかみどころのない男子生徒・星崎透を演じ、最終回には教師・九条(松岡茉優)に「俺と一緒に死んでくれない?お願い」と冷めた目つきで懇願。一見すると普通っぽいのに、底知れぬ危うさを秘めた少年を演じ、最後まで視聴者をハラハラさせた。
さらにディズニーが制作した、実写で描く現実世界「横須賀」と、アニメで描く架空の世界「ウーパナンタ」を舞台に描かれたオリジナルファンタジー「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」(ディズニープラスのスターで独占配信中)では、文字通り“二次元から飛び出してきた”主人公の一人・タイムを演じ、作品のオリジナル言語「ウーパナンタ語」を操る際も、「そんな言葉ありそうだな」と妙に説得力のあるセリフ回しを披露。視聴者や新田真剣佑ら共演者たちも舌を巻いた。
ウーパナンタ語については、当メディアのインタビューでも「(タイムは)その言葉を15年間もしゃべってきたわけだから、僕がちょっと覚えたぐらいで話すのは違うなって。すらすらしゃべるのは難しかったですね。『芝居が良かったとしても言葉が少しでも違ったらやり直すので言ってください』と監督とも約束していました。長ゼリフもあったので、何回もやり直したりもして…。覚えるのも少し変な感覚ですし、覚えられているのかどうかも分からない、そんな不思議な感覚がありましたね」と語っていたように、当然一筋縄ではいかなかったようだが、努力の末に“すらすらと”しゃべれるようになったようだ。
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