【漫画】ずっと泣きたかった…亡き”右足”をコーヒーで弔い、悲しみを受け止めていく女子高校生の希望の物語に「尊い」「メッチャ良かった」と話題に

2024/10/10 08:30 配信

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ずっと泣きたかった…亡き足をコーヒーで弔い悲しみを受け止めていく女子高校生の希望の物語に「尊い」と話題にⒸうおやま/新潮社

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、右足を失った高校2年生の女子生徒白川メグミが「喫茶こかげ」という一風変わったカフェで亡き足弔う物語が面白いと話題の「足を失った高校生の話」をピックアップ。なお、本作品はくらげバンチで連載中の「木暮姉弟のとむらい喫茶」で、公刊されている第2巻第7話「始まりのブラックコーヒー」(著:うおやま//出版:新潮社)が正式なタイトルとなっている。

作者のうおやまさんが2024年8月3日にX(旧Twitter)に投稿したところ、8.2万件を超える「いいね」を獲得し、「素敵な話」「こんな行きつけの喫茶店が欲しい」「尊い」など多くの反響が寄せられた。本記事では、うおやまさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。

ふいに橋に足をかけて飛び降りようとする白川Ⓒうおやま/新潮社

ふいに橋に足をかけて飛び降りようとする白川


片足を失った女子高校生の白川は教師から障がいに負けない姿をスピーチして欲しい依頼された後、ふいに橋に足をかけて飛び降りようとする。その瞬間、両足が生まれながらに不自由な水瀬澪に止められ、行きつけの「喫茶こかげ」という渋い店に誘われる。白川は改めて自分の足がないこと、足が好きだったことを自覚して泣く。泣きながら白川はずっと泣きたかったことを認識する。店のテルさんは「一緒にできることがある」と言い水瀬はブラックコーヒーで弔わせてほしいと白川にコーヒーを差し出す。「献杯」と言い故人を追悼する杯として、足を弔う。後日、教師からスピーチの件を再度督促されるが…。

不思議なカフェ「喫茶こかげ」で足がなくなったことを改めて認識し泣く白川だが、温かく「献杯」と言い亡き足を弔ってくれる水瀬と喫茶店経営者の木暮姉弟。亡き足をきちんと弔うことで喪失から希望へと前を向いて幸せになろうとするストーリーで、白川と水瀬、木暮姉弟とのやりとりにX(旧Twitter)上では「メッチャ良かった」「周りのメンバーに恵まれてて良かった」など、多数のコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。

「単に彼女が立ち直る話というだけではなく、読んでいる人に自分ごととして考えてもらう話にしたい」作者・うおやまさんが語る創作の裏側とこだわり


――「足を失った高校生の話」のモチーフはどのようにして生まれたのでしょうか?

「木暮姉弟のとむらい喫茶」は、人生で誰しもが経験する「喪失」から立ち上がる物語です。

自分自身、生きていれば誰かやなにかを喪うことは避けられないので、それをテーマに描きたいと思って始めました。

主に取り上げているのは誰かの「死」による喪失ですが、それ以外の喪失も取り上げたいと思って、この話は描きました。

――本作で、片足を失った白川が「喫茶こかげ」に誘われ行きます。本作で工夫された点は何でしょうか。

この話は、大切な体の一部を失った白川が、自分の悲しみをちゃんと受け止めるまでの話です。

彼女の心に響く言葉をかけられるのは相手は誰だろうか?ということはとても考えました。

その結果、橋で声をかけてきた彼しかいないのではないかと思いました。

――本作では、足を「献杯」して弔った白川が幸せを決意するところが魅力的です。本作を描く上でうおやまさんがこだわった点がございましたら、教えてください。

この話は、白川が新たな一歩を踏み出す話ですが、単に彼女が立ち直る話というだけではなく、読んでいる人に自分ごととして考えてもらう話にしたい、というところがこだわった点です。

白川は、自分が障がい者となったとき、他の生徒の「役に立つ」障がい者となることを学校の先生に求められます。

障がいを、一時的な感動のコンテンツとして使おうとする世間と、人生の一部としてずっと生きていく当事者の感覚のギャップについて考えてもらえたらと思いました。

――本作で、うおやまさんお気に入りのセリフやシーンなどがございましたら教えてください。

白川のセリフ「だから私はこの体と生きていく 私の障害が誰の役にも立たなくても」

――本作で、読者に注目してほしい点などがありましたら、お聞かせください。

この回は高校生ふたりの青春ものでもあると思っているので、キラキラしたところも楽しんでいただけたら嬉しいなと思います!

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。

「木暮姉弟のとむらい喫茶」は、喪失から立ち上がるための希望の物語です。

オムニバスなので、読んでよかったなあという回がきっと見つかると思います。

また2巻では、舞台となる喫茶店を営む木暮姉弟の秘密も明かされます。

木暮姉弟の出すいろんな喫茶メニューとともに、お楽しみいただけたら嬉しいです!