──先ほど「地上波で放送するのは難しい」という発言もありましたが、やはり今回のように配信という形のほうが、テレビで放送される作品よりも、規制などを気にせず自由に脚本を書けるものなのでしょうか?
「Huluだからといって何でもやっていいわけではないと思いますけど(笑)。ただやっぱり、テレビで放送される作品は基本的に無料で視聴できるので、『子供がマネをしたらどうするんだ』とか、表層的なところで見る人もいると思うんです。それに対して、有料配信の場合は、視聴者もあらかじめ作品の内容を理解した上で見てくれる。ある種、理想的な視聴者だとは思います」
──テレビは規制が厳しくなったと言われる昨今ですが、そのあたりは野島さんも感じることがありますか?
「今のテレビ局は、スポンサーがいなくなることにものすごくデリケートになっている気がするんです。そこに過敏になるあまり、何でもかんでも自主規制しようっていう今の風潮につながっているのかもしれませんね。そういう状況に、僕自身も窮屈さを感じることはもちろんあります。だけど、それはもう世の中の流れとして仕方がないと思うんですよ。だからこそ、Huluのように作品を有料配信するメディアが生まれてきたんだと思うし。そう考えると、これからは、ディープに踏み込んだ表現にトライするような作品は配信で、老若男女が安心して見られる作品は地上波で、という風に、ますます棲み分けが進んでいくんじゃないかなと思います」
──そんな状況の中で、野島さんご自身は、今後どのような媒体で、どのような作品を書いてみたいですか?
「今回の作品でかなりディープなところまで踏み込んでしまったので、気持ちのバランスを保つ意味でも、次はちょっとコメディーでふざけてみたい、というのはありますね(笑)。コンプライアンスに抵触しないレベルを維持しつつ、それでいてポップなもの。ただ、媒体に関して言えば、僕としては作品を世に発表できれば、地上波でも配信でも、どこでも構わないんです。それよりも大事なのは、どれだけいいソフトを残せるかということ。視聴率が何%だとか、数字的な成功は僕にとってはもうあまり意味がないことで。これからは、後世まで語られるような質の高い作品をできるだけたくさん残していきたいと思っています。その意味では、配信という形で作品を発表できるのは非常に恵まれているなと感じています」
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