1979年に公開され、大ヒットを記録した映画「エイリアン」。リドリー・スコット監督が生み出したその作品の世界観は斬新で、その後のSFホラー作品に多大な影響を及ぼした。そんな「エイリアン」の“その後の物語”が描かれた映画「エイリアン:ロムルス」が9月6日から公開中だ。監督は「ドント・ブリーズ」(2016年)のフェデ・アルバレスが務め、製作としてスコットが携わっている。人生の行き場を失った6人の若者たちが“生きる希望”を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション「ロムルス」。しかし、彼らを待っていたのは恐怖という名の絶望だった――。今作で宇宙ステーション内に潜む“エイリアン”に遭遇した登場人物・ケイの声を吹き替えているのが人気声優の内田真礼。子どもの頃はホラー映画など怖い作品を見ることがなかなかできず、「エイリアン」は大人になってから見たというほど、ホラー作品に耐性がなかったにもかかわらず、持ち前のチャレンジ精神で見事に役柄を演じきった彼女は、「声優アワード」新人女優賞を受賞したこともある実力派として、これまでに多数の作品に出演している。アーティスト活動やラジオ、バラエティー番組もこなすなど、声優の域にとどまらない活躍を見せる内田の軌跡を紹介する。
2009年にデビューした内田が2012年に初主演作「さんかれあ」で花開くと、同年に「中二病でも恋がしたい!」で主人公を振り回す“中二病”の少女・小鳥遊六花をかわいくコミカルに演じてブレーク。2015年より放送された「アイドルマスター シンデレラガールズ」に登場するアイドル・神崎蘭子も同じようなキャラだったため、中二病キャラが内田の声の印象としてファンの間で人気となった。
その後は、「甲鉄城のカバネリ」で民衆を守ろうと奮闘する令嬢・四方川菖蒲(よもがわあやめ)役、「約束のネバーランド」では穏やかで心優しい少年・ノーマン役など、バラエティー豊かなキャラクターも担当。自身とは思わせない多彩な声で評判を呼ぶと、「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」のカタリナ・クラエス役では、同時に5人のカタリナの声を演じ分け、演技力の高さを示したことで実力派としての地位を確立した。
一方で、声優の枠にとらわれずさまざまなジャンルの仕事にも挑戦。2012年に放送された特撮ドラマ「非公認戦隊アキバレンジャー」では実写作品に初出演し、2020年公開の実写映画「ヲタクに恋は難しい」では内田が本人役で自然な演技を披露している。さらに、ABEMAのトーク番組「声優と夜あそび」シリーズでは数年にわたり、下野紘とさまざまな企画に挑戦することでバラエティー力の高さを示すなど、多方面で活躍。清楚なルックスでありながら親しみやすい人柄で多くのファンをとりこにしてきた。そんなジャンルにとらわれず挑戦し続ける姿勢が、内田の人気を不動のものにしているのではないだろうか。
2014年に始動したアーティスト活動も、常に新たなことに挑戦することを目指し、ロックやポップ、ダンスチューンまで、さまざまな楽曲を歌ってきた。結果として、現在発売しているシングルのほとんどがタイアップ曲に起用されるなど安定した人気を維持。11月からは10周年を記念したライブツアーが3都県で予定されている。また、実弟で声優アーティストの内田雄馬との対バン企画も決まっており、その前段階として初のコラボシングル「Carnival/BIG LOVE」が9月25日(水)に先行デジタル配信、10月30日(水)にCDで発売される。仲が良い姉弟であることは業界内で周知の事実だが、レコード会社が違うためこれまでなかなかコラボは実現してこなかった。内田姉弟がどのようなステージを作り上げるのか、新たな挑戦に期待が高まるばかりだ。
そんな内田が日本語吹き替え版声優を務める「エイリアン:ロムルス」は、「第52回アカデミー賞」視覚効果賞をはじめ、数々の賞を受賞した第1作「エイリアン」のその後を描いた物語。9月6日に日本で公開されると、オープニング3日間で興収3億円を超えるヒットを記録している。
内田が声を担当するケイは、エイリアンに襲われ極限状態に追い込まれながらも必死に生きようとする主要キャラクターの一人。当メディアのインタビューで「これまで経験したことがないようなシーンが多過ぎて、大変でした(笑)」と、百戦錬磨の内田をもってしてもアフレコは大変だったことを明かしつつ、「物語が進むにつれて、こうしなければいけない、やらなければならないということにケイ自身が向き合って戦うところがあって、その姿はとてもたくましいんです。そのたくましさと、どうしようもない怖さで感情がぐちゃぐちゃになる瞬間がありつつも、演じていて楽しかった部分でもあります」と、楽しみながら挑戦できたことを語った。なお本作では弟・雄馬も日本語吹き替え版の声優を務めており、姉弟の共演作となっている。
アニメから実写、音楽、バラエティーに至るまで、ジャンルを問わず出演する内田が、今後もどのような挑戦を見せてくれるのか楽しみだ。
なお、「エイリアン」過去作はディズニープラスで配信中。
◆文=永田正雄
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