事故では大きな怪我はなかったものの、そのときの衝撃からせん妄の症状を発症してしまったヤンチョル。時刻の確認や着衣さえも満足にできない状態のヤンチョルに、ドジュンは事態の深刻さを痛感していた。
ここで繰り広げられるのが、ドジュンとソンジュンの見えない火花が飛び散る頭脳戦だ。ドジュンはソンジュンに、ヤンチョルが昏睡状態であることは嘘であること、事故はただの交通事故ではなくスニャン一族の誰かによる殺人計画であること、そしてヤンチョルは「理事会で金融持ち株会社の設立を反対する者が犯人」と考えている旨を伝えた。その上で、理事会で持ち株会社の設立に賛成して欲しいと頼むことで、ソンジュンに協力させようとしていたのだ。
しかし以前いっぱい食わされたソンジュンがドジュンの言うことをそのまま聞くはずもなかった。ソンジュンの策略に、今度はドジュンがうなることになる。
一方で、ヤンチョル殺害未遂事件の真相もまた闇が深かった。財閥家ならではの金をめぐってのむごい動機ではなかったものの、だからこそ思い通りにいかない人生の難しさを感じられる。因果応報ともいうべきヤンチョルの罪が"いまこのとき”に牙をむいたのは、まさにドラマチックな展開を呼ぶカギとなった。
未来知識をもとにした事業戦略はいつもどおりながら、"ヤンチョルの死”という大きな転機を迎えたのも物語が終わりに近づいていることを感じさせる。ヤンチョルの遺言書がもたらした混乱のなかでもヤンチョルの名誉を守るドジュンの義理堅さはさすがだが、その後立ち回りがさらに場を描き乱す。
大黒柱を失っていよいよ混沌の様相を呈してきたスニャン一族。グループの株価は暴落し、大きな危機を迎えることとなった。しかしそんな陰鬱とした物語のなかにあって、「ドジュンは私の孫だ。私に一番よく似た孫だ」と笑顔で答えるヤンチョルの映像は強大な破壊力を持っていた。最期の言葉に思わず涙するドジュンに、釣られて泣いた人は少なくないはずだ。
それでいて、ドジュンのなかにいる“ヒョヌ”が殺されるきっかけとなったペーパーカンパニーの情報が飛び出す。残り2話でヒョヌが死なねばならなかった理由と、その黒幕が明らかになる。
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