声優・増田俊樹が、9月29日に都内で行われた『ニコラス・ガリツィン誕生日記念「メアリー&ジョージ 王の暗殺者」特別上映会』に映画ライターのよしひろまさみち氏と共に登壇した。
「メアリー&ジョージ 王の暗殺者」は、英国王ジェームズ1世とその愛人といわれるジョージ・ヴィリアーズ(初代バッキンガム公)との深い関係を映像化した全7話のテレビシリーズ。息子を武器に一族の繁栄を目論む母・メアリーを「アリスのままで」「メイ・ディセンバー ゆれる真実」で知られるオスカー女優ジュリアン・ムーアが務め、当時、”英国一の美男子”と称された初代バッキンガム公・ジョージ役を、ロシア貴族の血を引くというニコラス・ガリツィンが演じる。
監督はアカデミー賞(脚色賞、主演男優賞)にノミネートされた「生きる LIVING」のオリヴァー・ハーマナス、脚本は「キリング・イヴ/Killing Eve」のD.C.ムーアが務めている。
主演のニコラス・ガリツィンの誕生日が9月29日ということで、上映会とトークイベントが開催され、ジョージ役の吹替を務める声優・増田がドラマの魅力や世界観を語った。
このドラマの魅力について聞かれると、「全体を通して刺激的な作品です。人間だったり、その文化だったり世界に翻弄されていく彼らの姿を、作品を通して視聴者も翻弄されると思いますし、非日常を体験できる面白い作品です」と答えた。
ニコラス・ガリツィンの役者としての魅力については「アクターとしても魅力のある方ですけども、男性的な印象を持ちながらも中性的な魅力も存分に持っている役者さんだと思いました。力強さの中にある繊細さがルックスにも現れていて、それがこのドラマにおけるジョージの立場にもすごくいいシナジー(相乗効果)になっていると感じております」と吹替で演じてみて感じたことを語った。
MCが、吹替版ディレクターからのメッセージとして増田をキャスティングした理由を「時の国王が見初めるほどの美貌。出世欲の権化のような母にも勝るとも劣らない野心、増田さんの声にはその2つの要素が感じられました。決め手となったのは、母の愛への渇望といったものをどこか増田さんの中に感じたからです」と伝えると、増田は「すごく的確なんじゃないかなと思います」と返した。
そして「僕自身も役者、声優をやっていく中で、ただ求められるものに対して応えていくということに疑問を感じながら生きているので、“自分しかできないこと”や“自分だったら何ができるか”ということを常に考えてしまっているので、それが出世欲や他人に対する自分の自己肯定感というか、承認欲求に近いのかなと思います。それと人に対する愛を求める部分はかなり僕も常日頃から感じるので、そういうところを見抜かれたのは、的確でありながら、恥ずかしさもあります(笑)」と少し照れた表情を見せ、「ディレクターさんからキャスティング理由をお伺いする機会ってなかなかないので、しっかりと言語化していただけると俯瞰で自分のことが見られますね。『あぁ、僕は役者としてそういう引き出しを持ってるんだな』って感じました」と感謝。
ガリツィンが30歳の誕生日を迎えたということで、30歳について聞かれると「節目ではありますよね。20歳になる時も日本では大きな節目になりますけど、30歳というのもその次の節目で、社会的に何かを求められるわけではないからこそ、自分が自分に何かを求めるような節目だと思います」と自身の考えを話した。
イベントの後半にプレゼントじゃんけん大会も行われ、増田にジャンケンで勝った2名にプレゼントが贈られた。
そして最後に、増田が「現時代において、かなり現実じゃないストーリーというか、僕らの持っている今の常識とはかけ離れた史実に基づく常識がいっぱい描かれています。そういった時代のギャップを楽しんでください。それと、人間がもともと持っている欲望みたいなものを、数多いる登場人物たちがものすごい勢いでぶつけ合ってる印象がありますので、愛憎や出世欲など、エキセントリックな刺激的な部分が楽しめるのも、このドラマの魅力だと思います」と見どころを伝えてイベントを締めくくった。
「メアリー&ジョージ 王の暗殺者」は、Amazon Prime Videoチャンネル上の動画配信サービス「スターチャンネル EX」にて独占配信中(毎週水曜、1話ずつ更新)。また「スターチャンネル」では10月8日(火)から字幕版を、10月10日(木)から吹替版を独占日本初放送する。10月5日(土)に吹替版第1話を先行無料放送。
◆取材・文=田中隆信