――第2クールの最終話では、零番隊と親衛隊、兵主部とユーハバッハのバトルが最高潮の盛り上がりを迎えました。第3クールの序盤も、引き続き彼らの戦いが続きそうですね。
森田:零番隊は本当にすごかったです。とくに修多羅千手丸の卍解(「娑闥迦羅骸刺絡辻」)とかはとてもカッコよくて、現場でも「しゃたつ からがら しがらみのつじ」のセリフをよく真似をしていました(笑)。一護は卍解の名前を言わないから、羨ましくて。
杉山:それで言ったら僕も羨ましいです。「狒狒王蛇尾丸(ひひおうざびまる)」とか「金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)」とか、みんなカッコいいですよね。たしかに、千手丸の卍解もすごかったですよね。あの異空間は、あえてCGの異質さを利用しているとのことでした、そういう演出がまた素晴らしい。第3クールからは、映像的にもさらにクオリティに磨きがかかっているなと感じます。
森田:本気の本気ですよね。久保先生もお忙しいなか毎回アフレコ現場にいらっしゃってくださり、それにクリエーターたちが触発されているところもあると思います。「絶対に久保先生が唸るようなものを作ってやる!」という気合いを感じます。
杉山:ふつうのテレビアニメのカット数よりもずっと多いのにも関わらず、そのすべてが美麗という、ちょっと恐ろしいことをやっていらっしゃるなと思います。
森田:本当にそうですね。『BLEACH』のテレビアニメを観て育ったという若いクリエーターの方々も多く参加しているらしいので、そういうところも長寿作品ならではで、すごく幸せなことです。
――第3クールも見どころがたくさんありそうですね。
森田:もちろんです。第2クール同様、久保先生監修によるアニメオリジナルの展開も多いので、原作ファンの方も新鮮な気持ちで楽しめると思いますし、とにかく情報量の多いクールになっています。
杉山:いろいろなところで起こっていることをそれぞれ丁寧にフォーカスしているので、そこが引き続き見どころだと思います。雨竜と一護の対峙シーンもありますし、そこは「千年血戦篇」の柱でもあるので、注目していただければと思います。
森田:あと、個人的に気になるのは兵主部です。第2クールの時点でも「こいつって本当にいい奴なの?」みたいな気持ちが芽生えた人もいると思います。第3クールでは、それがさらに分からなくなっていくというか。
杉山:なにが正義でなにが悪なのか、ちょっと錯覚してしまうような感覚がありますね。
森田:そうそう! あと兵主部はなにかと伏線を張りがちなので(笑)、そんなところにもぜひ注目してご覧いただきたいと思います。
――振り返りになりますが、同じキャラクターを20年間演じ続けるという点において、難しさを感じたことはありますか?
杉山:僕はもともと地声がかなり高めなので、声質的に若くしようとかの難しさはないですね。久しぶりに雨竜に声を当てる際も、一護をはじめ、みんなの声を聞くとごく自然に雨竜の声が出てくる感覚です。自分でも不思議だなと思いますが、今回もそうでした。
森田:僕もその通りなのですが、今回に限っては、一護の声は意識的に声質を変えて臨みました。そもそもの話なのですが、20年前に一護を演じる際、本当は出したかった理想の声があって、当時はそれが出せなかったんです。僕が思う理想の一護の声は、そもそも誰にも出せない声ではあるのですが……(笑)。ただ今回の「千年血戦篇」の一護の声は、僕のなかではより理想に近づいて、20年前には出せなかった中低音が混じっているんです。これは年齢を重ねたことで出せるようになった声質で、一護も劇中を通じてかなり成長してきたので、それが声でも伝わればいいなと思って演じています。
――そうだったんですね。この20年のあいだにはいろいろな思い出があると思いますが、おふたりの中でとくに印象深い出来事はなんでしたか?
杉山:20年前のテレビアニメの収録の際は、よくふたりで家電屋さんに行っていました。
森田:最新ゲームのチェックですね。ふたりの共通の趣味がゲームだったので、当時は収録後に家電屋さんに行って、新ソフトの情報をゲットしていました。
杉山:あとはご飯を食べているときに判明したのですが、僕の通っていた高校のすぐ「裏手の高校」に森田さんが通っていたんです。僕と森田さんは同い年なので、「絶対にどこかでニアミスしているよね」と盛り上がって。
森田:杉山君は「裏手の高校」って言いましたけど、僕からしたらそっちのほうが「裏手の高校」ですからね?(笑)
杉山:そんなつもりじゃなかったんです!
――でも高校時代からニアミスしていたなんて、めっちゃエモい話ですね。
森田:「エモい」という言葉が生まれる以前の話ですから。今回は一護と雨竜は完全に対立関係にあるので、どっちの高校が「裏手」なのか、なんなら劇中で白黒ハッキリさせましょうか?(笑)
杉山:いやいや僕の高校が「裏手」です!(笑)
森田:でも、そんな隣り合わせの高校に通っていた僕らだけに、一護と雨竜が背中合わせに立っているキービジュアルを見たときには震えました。
杉山:本当ですね。これもなにかの運命なのでしょうか。
森田:……やっぱり白黒付けようか(笑)。
――ありがとうございました。
■取材・文/岡本大介
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