――役とご自身との共通している部分を教えてください。
曽野:桐野は周りの環境もあって自分の感情を押し殺して外面のキャラを作っていて、そこが似ているなと思いました。僕は大人に良く見られようという気持ちが潜在的にどうしてもあって、もう自分のアイデンティティーになっているところがあるんですよね。
荒木:僕はかわいいものが好きなところかな。自分も小さい頃からぬいぐるみとかかわいいものがすごく好きで、気付いたらベッドの周りがぬいぐるみだらけとかよくあって。今もディズニーのダッフィーのぬいぐるみがないと寝られないです。
藤本:僕は共通点ではなくて逆の部分なんですけど、僕自身は部屋をきれいに片付けるというかそもそも物がほとんどなくて。それに対して夢野は部屋を結構散らかす性格なので、宅配の段ボールもそのまま放置したりしていました。そういう部屋に住んで夢野っぽい感覚になろうかなって。
――お互いの第一印象と共演してからの感想はいかがですか?
曽野:荒木くんはロックでパンクでかっこいいイメージだったんですけど、会ったときにはもうエクステを付けていて、ボブでかわいいなと思っていたら、オムライスが好きで自分でも作っていると話していて、“なんだこのかわいいやつ”って(笑)。でも、共演していく中で、少年っぽさも感じてギャップに惹かれていきましたね。藤本くんは逆にギャップがなくて明るい太陽みたいな存在でした。
荒木:初めて会った本読みのときはみんな結構硬かったんですけど、撮影が始まったら自然と打ち解けました。最初の走るシーンの撮影が初日で、真夏の暑すぎる中、走っていたらみんな吹っ切れて。
曽野:あれヤバかったよね。
藤本:ヤバかった。
荒木:「暑い暑い」って盛り上がったらもう仲良くなっていました。
藤本:曽野さんは王子様のようで、最初はキラキラしていて。
――最初は…?
曽野:え、怖い怖い(笑)。
藤本:いや、撮影に入ったら皇帝というか。
曽野:威張ってるやつじゃん(笑)。
藤本:役柄的に僕は桐野には逆らえないので。桐野はトップにいて僕はその犬みたいな感じだったんです。でも、実際には優しくて、僕たちの騒がしい感じにも混ざってくれて。飛羽くんはテレビや映画で見ていた感じと違って、少年っぽくてかわいいなと思いました。
――いじめや主人公たちの悩みや葛藤が描かれる本作ですが、役を通して考えさせられたことなどがあれば教えてください。
曽野:舞台は田舎ですけれど、都会にいても、コミュニティーの狭さを感じることってあると思うんですよ。学校だとかママ友だとか。いい話は全然広まらないのに悪いうわさはすぐ広まったり、自分に重なる部分があるんじゃないかと。とてもリアルに描かれていると思います。
荒木:監督とも話したんですけど、少年たちの日常を切り取った感じに撮りたくて、本当にリアルだと思うので、学生の方に届いてほしいです。心のよりどころになったり不安な感情とかも全部ぶつけられる作品になるといいなと思います。あと、お母さんがこの原作を読んで「感動した、すごく良かった」と言っていて。まだまだ子どもな自分とは絶対に違った受け取り方をしていると思うので、いろいろな世代の方に見てほしいです。
藤本:やっぱり人間って型にはめたいというか、型から抜け出している少数の人のことを“普通じゃない”と言う傾向があると感じています。でも、全部まとめて普通というか、もともと型なんて存在しないということを僕としてもこの作品で再認識できたので、皆さんにとっても考える機会になったらうれしいです。きれい事に聞こえるかもしれないけど、そういう意識を持つことが大切だなと思います。
◆取材・文=牧島史佳
撮影=小川拓洋
ヘア&メーク=反田やよい(荒木飛羽)、中島愛貴(曽野舜太)、粕谷ゆーすけ(藤本洸大)
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