そんななか、高台から助太刀が必要な仲間を見つけては効果的な一撃を浴びせ、また高台へを繰り返していた弧次郎(CV:日野まり)が、川岸を伝って背後の女子供を狙う敵がいることに気づく。そこで保科党の兵士を数人借りて、敵に斬り込む弧次郎。
だが、待ち構えていた米丸に弧次郎が連れてきた騎兵はすぐさま落とされてしまう。唯一騎馬で生き残っている弧次郎は米丸と一騎打ちに挑むが、体重も腕力も劣っている上に、プロボクサーのシャブとほぼ同じ速度で突進してくる米丸の太刀をまともに受けることができない。
ピンチのなか、弧次郎を励ましたのは保科党の兵士たちが自分の名前を呼ぶ声だった。彼らは昨日の戦いで時行が弧次郎の名前を連呼しているのを聞いていたのだ。そんな彼らを通して時行の声が聞こえた気がした弧次郎は、主君の恥にならないよう米丸にせめて一太刀浴びせようと決意。その一太刀は米丸にわずかな傷をつけることしかできず、力尽きそうになった弧次郎だったが、保科党の兵士たちに鼓舞される形で米丸を倒すことができた。
これまで逃若党の要は戦術にも戦闘にも長けている吹雪だと思っていた弧次郎。だが、米丸を討ち落とすことができたのは弧次郎が戦場を駆け回り、味方を巻き込んで献身的に戦ったからこそ。吹雪が言う通り、弧次郎が持つ逃若党の副将としての素質が見えた戦いだった。
大将である時行もただ戦いを見ているだけではない。領民たちが全員安全圏までたどり着いたことを確認し、兵士たちも撤退することに。その最も危険な撤退の最後尾を務め、得意な逃げながらの後方射撃を見せた時行は味方から絶大な信頼を得るのだ。
その間、吹雪は護衛が離れている隙に国司の髷(まげ)を切り落とす。これによって国司は怖気付き、あらかじめ時行たちが立てた大量の旗を見るや兵を撤退させた。
そして無事に安全圏まで逃げ切った保科党と逃若党。領地は失ってしまったものの、領民たちの歓声を浴びた弥三郎は「こんなに気持ちのいい負け戦は初めてだ」と晴れやかな顔を見せる。
ナレーションによると、保科氏は時代の流れでこの先何度も主君が変わるが、危機を巧みに乗り越えて明治まで続く生き延び上手の大名となる。時行にとっても間近に迫る大乱の重要な戦力となるそうだが、それも時行はもちろん、弧次郎が兵士たちの心を掴んだおかげだ。仲間とともに諏訪頼重(CV:中村悠一)から与えられた軍を一人でも多く逃し、逃げ上手の大将となるというミッションをクリアした時行は、「死にたがる武士を生きたがりにして仲間にする」という目標に向かってさらに突き進んでいく。
ラストは諏訪大社で時行たちの生還を祈っていた頼重、雫(CV:矢野妃菜喜)、亜也子(CV:鈴代紗弓)と再会する。その様子は絵巻の中で描かれ、閉じると表紙裂に「逃げ上手の若君」とタイトルの文字が。最後まで多彩な演出で私たちを楽しませてくれた本作。
視聴者からも「最後は負けたのに勝ったような清々しさ…まさにこの作品に相応しい合戦でした」「弧次郎カッコ良かった~!!」「時行、弧次郎、吹雪、玄蕃それぞれの得意な所を生かして大活躍だし、保科党のクセ強おじさん達も強くて頼もしくて、素晴らしい逃げ切りでした!」といった感想とともに、「毎回本当に面白かったし、演出もクオリティも素晴らしかった」「もう最終回とか寂しすぎる!」「あっという間で早すぎた!」「味方も敵も個性豊かで毎週楽しかったので続きが見たい」といった声が上がっていた。そして、放送翌週には第二期の制作決定が発表された。今後も続報に注目したい!
◆文/苫とり子
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