爆笑問題が語る『爆チュー問題』への特別な思い 「我々は嫌われ者だけど“爆チュー問題”のときは好かれてる」

「佐藤雅彦さんはやっぱり天才」

爆チュー問題(おおたぴかり&たなチュー)撮影=玉井美世子


ーー(大喜利になってきたので…)ありがとうございます。子ども番組「ポンキッキーズ」の1コーナーとして誕生した「爆チュー問題」でしたが、25年前の当初、この番組の話を聞いたときはどう思いましたか?

ぴかり:俺らが出る前の「ポンキッキーズ」(フジテレビ系)はスチャダラパー・BOSEとか安室(奈美恵)ちゃんが初代MCをやってて、それをケイン・コスギがMCでリニューアルして。その中のワンコーナーに「爆チュー問題」はあったんだけど、最初は「『ポンキッキーズ』で何かやってくれませんか?」って、うちの社長に話がきたんです。

社長が「太田は子ども番組はやらないんじゃないですかね…」って答えたんだけど、俺はもうやりたくてしょうがなかったの。それは昔から「セサミストリート」とか「PEANUTS スヌーピー」とか、子ども番組なんだけど大人が観ても面白いっていうものが好きで。将来やりたいなと思ってたから、即答したんですね。

何をやるかっていう話になったとき、当時「ドリフ大爆笑」(フジテレビ系)でいかりや(長介)さんと仲本(工事)さんがバカ兄弟で、どっちもバカなんだけど、バカがバカにモノを教えるっていう設定のコントをやってて、こんなのやりたいって思ったんですよ。それを言ったら、じゃあどう形にするかっていうので、佐藤雅彦さんに社長が相談したんです。

当時、佐藤さんは「おかあさんといっしょ」(NHK)や「だんご3兄弟」をやってたから、「僕はちょっと今、ライバル番組に携わっているので、できないと思います」ってやんわり断られたんだけど、次の日佐藤さんから電話がかかってきて…「できました」って(笑)。

ーー…え?

ぴかり:それで佐藤さんの事務所に行ったらもう全部が決まってて。ぴかりとたなチューっていうネズミで、絵コンテもセットの図もあって、「でたらめな歌」までできてたんです。

ーーすご過ぎませんか?

ぴかり:モノを説明するって俺が言ったから、バカっていう設定じゃもうダメじゃないですか。当時ドリフですらバカっていうのにクレームが来てたんです。でもネズミだったら知らなくても必然性がある。要はネズミは小さいから、人間界にあるいろんなモノを拾ってくると、全部が大きくて目新しいモノになると。ほとんどの人間が日常で使ってるものが当たり前ではなくなり、不思議なモノになる。

だから、“でたらめ”をキーワードにして、俺が天才ぴかりで、こいつが普通のたなチューで、俺がこいつに知ったかぶりで教えるっていう。佐藤さんはそういう風に変換して、俺がやりたかったことを全部形にしてくれてたんですよね。すごいですよ。やっぱり天才だなと。

ーーちなみに、ここまでの話はたなチューさんは全く知らなかったのでしょうか?

ぴかり:極秘で。

たなチュー:全然知らなくて。急に「ポンキッキーズ」でやることになったからと決定事項を伝えられたんです。子ども番組でやるんだって驚きましたね。それで佐藤さんの事務所に行って、初めて何をやるかを知らされて。面白そうだなと思いましたけど、一日で出来上がったとか、そういうことも僕は全く知らなかったので、後で聞いてびっくりしました。

ーー実際にやってみてどうでしたか?最初の収録のときのことは覚えていますか?

たなチュー:ちょうど今日、収録で最初の放送回をVTRで観たんですけど、うっすら覚えてるぐらいで…あんまり覚えてないね。ただ、この番組はとにかくスタジオセットがすごいじゃないですか。美術がすごくいいなって思った印象が強いです。

それまで僕らは自分たちの番組を持ったことがなかったので、もちろん他の方の番組に出たときにすごいセットとかはあったんだけれども、自分たちの番組のためだけにこんなに豪華なスタジオセットを作っていただいたことに単純に感動した記憶があります。しかも、デザインもセンスがあるじゃないですか。

ぴかり:あんなに贅沢なコントセットをね。