長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『上田と女がDEEPに吠える夜』(日本テレビ)をチョイス。
MCの上田晋也を中心に、女性タレントたちがあるトピックについてDEEPに語り尽くす番組、『上田と女がDEEPに吠える夜』。今回のテーマは、”人間関係リセット症候群”について。大久保佳代子、島崎遥香、ファーストサマーウイカ、岡田結実、スパイク・松浦志穂、Aぇ! group・小島健が、それぞれの人間関係への価値観を語り合う。
この人間関係リセット症候群は、ふいに人との関わりを絶ってしまうといった行動を指すものだと思っていたのだが、この番組では、たとえばLINEなどSNSのアカウントを消してまた作ってを繰り返したり、フォロー/フォロワーの数を絞ったり……といった行動も含めてそう呼んでおり、語られているのは人間関係のリセットというよりは、断捨離に近いような気がした。誰と繋がっておくかを自分で選ぶ、ということだ。
また、縁を切りたい相手から距離を取るために、一旦リセットして、その人を抜きに再開をする、という側面もあるという。SNSで、その人だけをブロックすると角が立ってしまうから、一度リセットを挟むことでおだやかに縁切りを済ませるわけだ。これは私にも覚えがあるというか、こざかしいように聞こえる行為かもしれないけれども、日々を平和に過ごす為には、こういった小手先のテクニックは必要不可欠であると思う。誰ひとり傷つけずに生きることなどできるわけもないが、傷つけてしまうことを減らす動きは大切。それは他者の為でもあり、何より自分の為でもあるのだ。なぜかネガティブなイメージがついている八方美人が私は好きで、自分を強く持っている孤高の人間というのはもちろんカッコいいとは思うが、他者に寄り添うのを単にやめているようにも思える。
しかし、そのような八方美人としての振る舞いは、番組内でも語られているように、他者にあらぬ期待を抱かせてしまう原因ともなる。恋愛の面ではもちろん、別に長く付き合いを続けるつもりもない相手とも、なんとなくの絆を生んでしまうというのは考え物かもしれんが、生まれてしまったものは仕方がない。強盗と人質との間にすら絆は生まれてしまうのだ。静電気のようなもので、コミュニケーションをやるならそれは避けようがない。だからうまく切って調整をする必要がある。話は冒頭に戻り、この循環が人間関係であって、他者と関わるというのは、やはり途方もなく難しいのである。
私も、今の生活をすべて捨てて姿を消したいと思うときがある。それはふとした純粋な欲望でもあり、さらには、自分が姿を消せばどうなるんだろうという好奇心から来るものでもある。人間関係の断捨離についても同様で、断捨離という言葉に罪悪感を覚えながらも、ご縁の制御はやはりしなきゃならない。相手がクソなら気持ちは楽だ。ハサミで糸を切ればいいだけである。しかし、クソではない場合も多い。クソではないが別に仲良くはしたくない人間が、この世には多いのだ。
■文/城戸
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