「自分が納得するものを妥協せずにやりたい」全10曲の作詞を手がけた青山なぎさの1stアルバム

2024/10/16 18:30 配信

音楽 インタビュー

本当なら修正されてしまうところをあえて何もいじらないでほしいとお願いした


──個人的には「Addicted to you」がめちゃめちゃツボでした。これ、歌うのは相当難しくないですか?

えげつなく難しいです(笑)。曲を聴いた瞬間にめちゃくちゃおしゃれだなと思って「これやりたいです!」と言ったものの、いざ歌詞を書こうとしてメロディにじっくり耳を傾けると「これは人間が歌う音階なのか?」って、それぐらい高低差が激しい楽曲で。しかも、キャラクターを背負った曲だと仮歌という指針となる歌い方が存在したんですけど、今回に関してはまず私が歌わなければ何も始まらないし正解もわからない。なので、レコーディングではいろんなパターンで録らせていただき、時間をかけて完成させました。

──ピアノバラードの「そよ風」は音数が少ない分、歌に対する比重がかなり大きな1曲です。

この楽曲はピアノの方と一緒にレコーディングをしたので、リズムがちょっとズレているところがあるんですよ。そういう意味では、生の臨場感をより楽しめるんじゃないかと思います。

──その若干のズレっていうのが絶妙なスイング感を生み出していて、そこが心地よさにつながったと思います。

感情を重視して歌ったんですけど、本当なら修正されてしまうところをあえて何もいじらないでほしいとお願いして。そのぶんレコーディングで納得いくまで録らせてもらいました。なので、最初に予定していた時間よりも大幅に延長していただいて、修正なしで完結できるクオリティの歌を心がけました。

何事も一つひとつ丁寧に向き合っていきたい


──そこから「wake up」へと続く流れは斬新ですよね。

一気に流れが変わりますしね(笑)。がなりを入れて激しく歌うことに関しても、私が声優活動をする前の歌い方に近いと思っていて。久しぶりにこの歌い方ができて楽しかったですね。

──「Voice」みたいなデジタル系の楽曲も、バンドサウンド中心の本作では新鮮でした。

1曲はこういうサウンドの曲が欲しかったですし、声にもエフェクトをかけてほかの曲とはまったく違うものをつくりたかったんです。この曲は一番時間をかけてつくったんですよ。というのも、英語のフレーズは私が自分で調べて書いたものなんですけど、本当にそれがネイティブなものかどうか不安で。現地に住んでいる方や帰国子女、英語が得意な友達とかいろんな人に確認してもらったりと、そこにも時間を割いたんです。特に、私のファンには海外の方もたくさんいらっしゃるので、そういう方が聴いたときに「この人は英語、間違ってるよ?」って思われたくないですし、スッと頭に入ってくるフレーズがいいなと思ってたくさんの方にご協力いただきながら完成させました。

──ここからの音楽活動における基盤となる1枚ができたんじゃないかと思いますが、ここで得た手応えをもとに今後どんな活動をしていきたいですか?

リリースイベントを何度かやらせていただいてファンの方の表情を見たときに、「こんなに楽しそうな顔をして聴いてくれるんだ」ってことがわかってうれしかったので、まずはいろんなところでライブができるようになりたいですし、加えて日本を飛び出してライブができるような人にもなりたくて。そのためにも何事も一つひとつ丁寧に向き合っていきたいなと思います。

(取材・文/西廣智一)

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