磯村勇斗が、10月12日に都内で開催された映画「若き見知らぬ者たち」公開記念舞台あいさつに、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、内山拓也監督と共に登壇した。
映画「若き見知らぬ者たち」は、2020年に映画「佐々木、イン、マイマイン」で若者から圧倒的な支持を得て、各界の著名人からも大絶賛され、新人賞を総なめした内山監督の商業長編デビュー作。内山監督が身近な見聞にインスパイアされた自身のオリジナル脚本による、今を生きる全ての人たちに送る物語。一人の青年が、自分の中にある“最後のとりで”と向き合う生きざまがこれでもかと激烈に描かれる。
登壇した磯村は「初めて脚本を読んだ時に、彩人が途中から姿を消した後に家族や友達がどういうふうに生きていくのかという物語がすごく好きで、内山監督の作家性に引かれました。あと、自分も世の中の理不尽なことを経験してきていたので、そういった自分の過去の経験とこの作品の持つテーマがすごく自分の中で共鳴して、『いい脚本と出合えたな』と思ってすぐにオファーを受けました」と告白。
また、クランクアップ後も福山演じる壮平の試合のシーンを見学に行ったことを明かし、「監督とも連絡を取り合いながら、出演者の方たちには内緒にして見に行きました。こっそり客席の影のところで暗い中、応援していました(笑)」と回顧。
続けて、「やはり自分(彩人)はいなくなっているのだから、一番大事な試合のシーンで、クランクアップしている自分が『ハイッ!』みたいな感じで行ったら、彼(福山の作り上げた壮平)が崩れてしまうと思ったので、静かに見て、全部が終わった後に会いに行ってハグをしました」とにっこり。
すると、福山は当時を振り返り、「めちゃくちゃうれしくて! 磯村さんはずっと現場で兄・彩人としていてくださって、『最後の最後までいてくれるのか』っていう。うれしかったです…」としみじみ語った。
一方、岸井も「(磯村が来ていたことは)知らなかったです。いて、びっくりしました」と当時の心境を語り、「本当にツルっとした感じで(彩人としてではなく)“磯村勇斗さん”としていらっしゃったので。(彩人の時は)ひげが生えてらっしゃったので、それがないと『むき卵だったんだ!』って(笑)」と独特の表現で笑いを誘う。
すると、磯村は「むき卵ではないですけどね。いつから卵キャラになったのか…(笑)」と苦笑いしつつツッコミを入れて、会場を沸かせた。
風間彩人(磯村)は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母・麻美(霧島れいか)の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。彩人の弟・壮平(福山)も同居し、同じく、借金返済と介護を担いながら、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れている。
息の詰まるような生活にむしばまれながらも、彩人は恋人・日向(岸井)との小さな幸せをつかみたいと考えている。しかし、彩人の親友・大和(染谷)の結婚を祝う宴会の夜、彼らのささやかな日常はもろくも奪われてしまう。
◆取材・文=原田健