乱太郎、きり丸、しんべヱの出会いは、忍術学園の入学受付の日(乱太郎としんべヱは“入学テスト”の日だと思っていたが)。乱太郎が門の前で一人決意表明して力んでいるところへ、牛に乗ったしんべヱが後ろから突っ込んでくる。先祖代々ヒラ忍者の家系であり、一流忍者を目指している乱太郎と堺の大貿易商の息子であるマイペースなしんべヱらしさが詰まった出会いだった。
「入学金さえ払えばみんな合格」と言われ、入学テストがないことを知って拍子抜けした2人はいざ入学受付へ。両親からもらったなけなしのお金で入学金を支払う乱太郎と優雅に小切手を切るしんべヱ。そこへ大量の小銭を袋からぶちまける者がいた。それがきり丸だ。
受付で「小銭は困る」と言われると、「仕方ないでしょう、アルバイトして貯めたお金なんだから」と説明するきり丸。それに感心する乱太郎が何のアルバイトをしていたのかと尋ねると、きり丸は合戦場でお弁当を売り捌いていたと答える。
戦で村を焼かれて家族を失い、戦争孤児となったきり丸。だが、そんな悲しすぎる背景を一切感じさせない。手を差し出して「よろしく」と挨拶したきり丸は、乱太郎としんべヱに「これから俺たち3人、仲良くやろうぜ」とさらに歩み寄る。常に明るく飄々としているきり丸を端的に表現した初登場シーンだった。
ここから3人の忍術学園での日々が始まっていく。学園生活をはじめ、さまざまな出来事を通して、絆を深めていく乱太郎、きり丸、しんべヱ。3人がそれぞれ違った色だからこそ、お互いに補い合う関係性は実に素敵だ。時に笑い、時にホロッと涙が出る。そんな温かく優しい、そして笑える物語だからこそ、30年以上多くのファンから愛され続けるのも納得だ。
構成・文=戸塚安友奈
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